1.《ネタバレ》 「ポランスキーの映画=血生臭い」というイメージがあると思うが、ポランスキーのデビューを飾った本作は鮮血を描かない。
プロットとしてはルネ・クレマンの「太陽がいっぱい」に共通しているが、本作のサスペンスは一味違うのだ。
冒頭、車を飛ばす夫婦から映画は始まる。
車上で交わされる他愛の無い会話、そこに飛び込んでくる若者。
中年のエリート気取り、インテリぶった人妻(メガネ取ったら超美人)、背伸びする若者。
三人は世間話でしばらく時間を潰し、男が若者を船上に誘い込む。
若者の前で見栄を張ろうとする男、大人を演じようとする女、負けてたまるかと反抗的な青年。
ストーリーは至極単純、テンポものんびりしているが、独特の空気が中々退屈させてくれない。
“ナイフ”で指の間を刺す瞬間の緊張。
三人のやり取りが面白い(そして奥さんが無駄にエロイ。ちょっとズンドーだけど美人だから問題無し)。
もうこの頃からロマン・ポルノスキーの気が(ry
湖上でのやり取り、そこで起きる「事件」。
湖面に消える者、情事にふける者、岸辺に戻ってしまった者・・・彼は何者だったのだろう。
そして最終的にナイフと船じゃなくても別に問題無かったという。
あるいわ本当に幽霊だったのかも・・・そんな映画。