116.《ネタバレ》 80年代の作品を除くと、90年代以降で一番面白いパヤオ作品。
とはいえ、話は細切れで断片過ぎてそれぞれがあまり有機的に働いてるとは思えない。
が、この作品の一番の面白い点は、見た人の感想が全然違うってことだ。
例えばナウシカやラピュタやトトロや魔女宅や紅豚やもののけだと、
そうそう人の感想って変わらないんですよ。
好き嫌い面白いつまらないはあるにしても、視点がそうそう変わらない。
だが、この作品はその人の状況に応じて見える景色や印象が変わる。
具体的に言えば、ジェットコースターだ、就職もの、風俗もの、といった具合に
色々な要素を詰め込んだがゆえに感想もだいぶ変わる。
まぁパヤオ話でいつも言ってる、前半と後半(パヤオは映画を作るときに前半しか考えてない)
は一応健在で、カオナシがおとなしくなってからぜにーばのところへ行くまでは
完全に銀河鉄道の夜だし、もうやりたい放題である。
自分はこのシーンが非常に好き。
もういろんな意味で無理だろうが、パヤオには銀河鉄道の夜アニメを作ってほしいところ。
玉虫色とはちょっと違うけど、その人の状況で見えるものが変わるってのが非常に面白く、
単に物語としててんでまとまってないのにそれがいいという不思議な作品。
尚、最後親がどれか、ってのは、あれはすぐわかりましたよ。
「なんでか」って説明も要らないんですよ。
たかだか数日なのに千尋は成長したんです。
そして、最後のシーンで好きなのが、親の車に乗ったあたりで髪飾りが光るシーン。
あれで、神隠しに遭ってた出来事は全部事実、リアルであったと示してる。
千尋の妄想ではないと明記して強調してるのが好き。