62.《ネタバレ》 オープニングのヴァイオリンのストリング!バーナード・ハーマンの神BGM、ソウル・バスの演出。ヒッチコック映画のオープニングでも1、2を争うワクワクするOPだ。
ヒロインの心理描写も良かったぜ。
ハイウェイを走らせる車。闇、土砂降りの雨の中を難しい表情で走り続ける。頭の中で色んな男の野次や考えがグルグル聞こえる。これだけで不安になる。
ただ後半の展開は何だよ?気をてらったとかそんなレベルじゃねえぞ?あれだけヒロインの心理掘り下げといて何だよ?オマケにロングが可愛いジャネットをショートカットにした挙句途中下車…「何が巨匠だふざけんな」というのが俺が「サイコ」を初めて見た時の第1印象だ。
この作品を見直したのも他の作品で感動したのがキッカケだったし、そうじゃなかったら二度と再評価しようだなんて思わなかった。
まあもう1回見たらやっぱり面白かった。
でもさ、大体本作の主人公は誰だよ?現生盗んだヒロイン?それともホテルの異常な管理人か?後者が最初からメインだったら俺はこの映画に100点やるぜ。
むしろホテルの場面から始めてくれたらな~とずっと思っていた。
しかし今回はしばらく彼女のドラマが続いただろう?だから予想外の展開でビックリするのは確かだが、逆にそういう事をされる大いにガッカリしてしまうのだ俺は。
でも二重人格の異常者を演じたアンソニー・パーキンスの演技は素晴らしい。
普段は大人しい青年、だが心の中には「同居人」を匿っている。絵に隠してあった覗き穴、鳥の剥製の不気味さ、手にべったり付いた血、それに殺人の時のえぐさも凄いね。
一撃じゃなく、何回も裂くようにナイフを突き立てる。
有名なシャワーシーンだが、イマイチ迫力にかける。音楽でごまかしてんだろ。
ヒッチコックの演出かと思ったら、ソウル・バスの演出だった。それでも無残に見開いた瞳は怖い。
二度目の「ナイフ」は迫力があったぜ。ソウル・バスの演出はシャワーシーンよりも階段の場面を評価したい。
終盤のヒロインの夫や姉が殺人鬼の謎を探っていく時の緊迫感。
女の服をまとった「同居人」が怖いこと怖いこと。
ノーマンの肉体を支配したのは「同居人」だった。
愛情、嫉妬、憎悪、狂気・・・最後の笑みはノーマンか「同居人」か。
殺される側の恐怖、殺す側の狂気…沼底から引き上げられる車が印象的なラストだった。