1.何となくネオレアリズモ映画のような雰囲気がある。子供たちを追いかけるカメラの映像からそれを感じる。晩年の成瀬監督の作風とは少し違う、若い頃のリズムが漂っているような。でも面白いのはここで描く子供の目から見た「大人の都合」は絶対に子供の視線じゃないことだ。子供にいじめられるお妾さんがかわいそうで思わず苦笑してしまう。だからこの映画で一番描けているのはやっぱり女で、乙羽信子にしてもこのお妾さんにしてもお互いに弱い立場ながら必死に生きる術を模索している。母と女の使い分けか・・・それにしても子供たちは余りにも可哀相だ(笑)こうやって大人になるんだ、というには酷過ぎる。それでも、デパートの屋上から空を眺める少年の背中はやっぱり力強かった。