12.これは いい映画でした うまくいくはずなのに・・思い描いてもうまくいかない なぜだかわからない マイナスのスパイラルがとてもリアルに出てるように感じました 主役2人がすごい これは監督はじめスタッフさんの力もあるでしょうが 自然でいい 親戚が集まると 大人たちはなんともつまらない話ばかりしているのが子供のころつまらなかった ただ ああして集まってたわいのない笑いができるようになるのに1山も2山も越えてきているということが大人と言われる年になってきてだんだんわかるようになった 僕もいつかああして笑えるような大人になっていきたい 【おでんの卵】さん [DVD(邦画)] 9点(2010-11-27 21:14:23) |
11.《ネタバレ》 最初の長回しのシーン。ごくありふれた一組の夫婦の他愛もない会話。ここでくすっと笑えるかどうかが肝なのかもしれません。笑えないと以降ただひたすら長いだけの映画になってしまうかも。この後も映画は当時の代表的な事件の裁判シーンを織り交ぜつつ、淡々と夫婦のお話が続きます。そこに理想の夫婦像とか華やかなロマンスみたいなものは出てきません。そもそもいわゆる美男美女なんてこの映画に誰一人と登場しません。出てくるのは実社会と同じで、つらい現実ばかり。夫のこと、仕事のこと、親兄弟のこと。子供を亡くし、うつになるまで打ちひしがれて、それでも夫の支えを得て立ち直っていく妻。こんな地味なお話の映画です。深い洞察力や絶対の自信がないと作れないと思います。最初の他愛のない長回しに始まり、中盤の最大の見せ場と、そこに至るまでの過程、そしてそれ以降の展開、笑えたり納得できる所が多々あったので高得点を付けました。流行の俳優さんやらCGやらをふんだんに使う映画もいいですが、時代に流される事なく淡々と人間のドラマを描いたこの映画も、とてもいいと思うのです。 【はらへり】さん [DVD(邦画)] 9点(2010-04-16 01:38:54) |
10.《ネタバレ》 処女作『二十才の微熱』から一貫してゲイを主人公に作品を撮り続けてきた橋口亮輔監督だが、『渚のシンドバッド』の浜崎あゆみや『ハッシュ!』の片岡礼子のように、主人公のかたわらには常に、自身も心の奥底に何らかの傷を抱えた女たちが、それでもか弱い彼らを護り支える女神のように毅然と立っていた気がする。彼女らは時に自らの自由や可能性を犠牲にしてまで、弱者たる主人公たちを力強く庇護する存在としてそこにいた。『ハッシュ!』を観た時、魅力的な映画とは思いつつ、ふと、どこかしら共感しがたいものを感じた。それは片岡礼子演じる孤独な朝子に、それでもいつか生涯の伴侶と巡り会うかもしれない可能性を軽率に唾棄させてしまう(それがたとえ本人の強い意志でむしろ彼女自身から強引に持ちかける提案として描かれてはいても)ことへの違和感だった。彼女の存在意義が、主体となるゲイのカップルにとってある種都合のいい、母なる女神として、そこに置かれてしまっているように思えたのだ。ゲイであるどうこうは、このさいどうでもいい。『ぐるりのこと。』でリリー・フランキー扮する夫もまた、ゲイではないが、橋口がこれまで描いてきた心やさしくも不甲斐ない男性像をそのままに踏襲している。だがここで彼が描くのは一転、糸が切れたように力尽きてしまった出来損ないの女神と、そんな彼女を今度は自分が支え返そうとする男の、その姿なのだ。橋口が初めて、か弱い男を庇うヒーローとしてのヒロインではなく、傷を負った一人の生身の女を腰を据えて見つめようとした本作には、だからこそとても大きな意味がある。少なくとも私にはそう思える。そして橋口映画史上もっとも弱々しくカッコ悪いそんな女性像を託された木村多江が、その意味に、見事に温かい血を通わせている。癇癪を起こし泣きじゃくる妻と、そんな彼女にそっと洟をかませる夫。これほどみっともなく、けれどこれほどに美しいラブシーンを、私は他に知らない。夫婦とは何なのだろう。共に生きるとはどういうことなのだろう。それは支えあうこと、そして見つめあうこと、時には横たわり同じ天井を見上げること、足でそっと蹴りあい手をつなぐこと。たったそれだけのことなんだと映画は語りかける。金屏風の前でささやかな記念写真を撮る前も後も、それこそ病める時も健やかなる時も、彼女たちはただシンプルにけれど力強く、夫婦なのだと。 【BOWWOW】さん [DVD(邦画)] 9点(2010-01-28 15:26:50) |
9.《ネタバレ》 リリー・フランキー氏を、この主役に据えるという蛮勇。おみそれしました。ベストチョイスだったと思います。ものすごく普通なシーンひとつひとつが、瑞々しく見える名作。くたびれてる人、ぜひ見てください。 【なたね】さん [DVD(邦画)] 9点(2010-01-17 00:34:48) |
8.《ネタバレ》 生きる技術を教えますという感じの映画でした。観ればきっと苦境から脱出するヒントを見つけることができるでしょう。夫は負け組みの亭主です。優しい男なのかもしれませんが、貧乏のオーラが体から漂っていました。まるで貧乏神の化身。まさに甲斐性の無い夫の象徴でした。こういう男の妻にだけはなりたくない。しかし世の中には、DV夫や、ギャンブル狂の夫が星の数ほど存在し、妻を苦しめています。それに比べたら、屁のツッパリでもないかもしれません。妻は家庭内で暴力をふるわれたり、社内でセクハラを受けていたわけではありません。しかし彼女がだんだん傷ついて壊れていく様子が、丁重に描かれており、うつに陥る人のことがよくわかりました。人によってはこの程度の不幸だったら、もっとがんばりなさい、と言うかもしれません。しかし借金地獄だったら納得できるのでしょうか。地雷で足を失えばいいのでしょうか?エイズを抱えて生きている人が本当の不幸を抱えているのでしょうか。人が感じる不幸というのは相対的だと思います。人生は素晴らしいとよく言われますが、あれは半分は嘘です。人生の本質はつらいのです。そういう前提で、先の見えない海の向こうを泳ぐときのように、人生を完走しなくてはいけません。それは簡単ではありません。生きる技術が必要です。ヘタレ亭主でもたまには名言を吐くようです。「おまえはみんなに好かれようとするからだめになる」 ・・・・。妻のように、ちょっと自分を否定されたら、すぐに落ち込む人は多い。こういうときは我が国の総理大臣を見習ってください。政治家というのは、選挙で当選して政治家になります。しかし誰1人として、満票で当選した人はいません。全員から好かれることは不可能なのです。必ず自分の存在を否定する他人が存在します。だからムリに人間関係を修復しようと、もがくのではなく、そういう事実を受け入れたうえで、自分を信頼してくれる人を大切にしたほうがいいですね。法廷を通して、人と人との関係性を丁重に描いたヒューマンドラマでした。 【花守湖】さん [DVD(字幕)] 9点(2009-05-15 21:42:00) (良:2票) |
7.絶望と希望への再生、陰湿な心と優しい心、対極的な人の心が沢山映し出されている。 夫婦二人のスタンスが凄く居心地良かった。 【ひで太郎】さん [DVD(邦画)] 9点(2009-03-24 12:01:36) |
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6.《ネタバレ》 自らの意志のみで世の中を真っ当に生きることはそもそも難しいことである。智に働けば角が立ち、情に棹させばながされる、意地を張れば窮屈だ。明治の代からそれは変わらない人情という世情である。 夏目漱石が『草枕』で描いた非人情の風景。誠実さ故に人情の世界の中では「狂い」のものとされてしまう女。その女に人間として惹かれる画家の男。それは絵画的な風景としての生の捉え方であったか。 『ぐるりのこと。』は、自らの行き方と世の中のズレを許容できないばかりに、次第に精神を病んでいく女とそれを見守る男の物語である。「ぐるり」とは、自分たちを取り巻く世の中のこと、という意味だと察せられる。(英語題より) 女は非日常的に自らの誠実さを表現できる「絵画」を日常とすることによって快復していく。男はそれを見守る法廷画家の男である。彼は「ぐるり」を描き続ける男でもある。 もちろん、彼らは10年という年月をリアルに生きており、それは決して非人情という風景の断片ではない。丹念に描かれ、紡がれる生活というもの。日常があり、非日常がある。その繰り返しの中で生きる辛さに押しつぶされてしまったが為に、破錠しかける2人の生活。 生きるというのは「ぐるりのこと。」であり、「関係」であるが故に辛いけど、それが為に繋がる喜びである可能性もある。彼らの10年はそのことを漸く知る為の10年であったことが僕らに伝えられる。 生きることは、年輪を重ね合わせることである。そう思わせてくれる「物語」であった。 【onomichi】さん [DVD(邦画)] 9点(2009-03-18 22:10:34) (良:1票) |
5.妻が好き夫が好き子供が好き母が好き父が好き兄が好き妹が好き同僚が好き絵が好き人間が好き・・・孤独の連帯があり、絶望に希望がある。ひとはひとを大切に想う。「そうしなければならない」からではなく、「好き」だから。これから何人のひとを好きになれるのだろう。カナオや翔子のようになれるだろうか。 |
4.悲しくて、悲しくて、その瞬間には見えなくても、自分を見守り続けてくれる人が確かにいる。そんな存在のいる翔子をうらやましくも思い、変わらずそんな存在であり続けるカナオのようにもなりたいと思いました。 淡々と続いていくストーリーが、カナオと翔子の人物像を逆に浮き立たせていたと思います。心に響きました。 【abbey】さん [映画館(邦画)] 9点(2009-01-01 00:28:59) |
3.《ネタバレ》 鬱病に掛かっている人が知り合いであった事があるので、個人的には非常に刺激的な一本でした。リリー・フランキーの嫁を演じる木村多恵の演技が素晴らしかったです。子どもが流れてしまってからの情緒不安定な演技には「この人ホントに鬱病に掛かってるんじゃないか?」と思ってしまうほどでした。ふとした時にみせる目の泳ぎとかが凄くリアル。それがあるから序盤で不器用ながらも仲睦まじい夫婦を見た後に訪れる不幸の様子は観ていて非常に心が痛みました。まあだからこそ終盤の幸せが素晴らしいものと感じる訳ですが。 無口な画家を演じるリリー・フランキーも好演していたと思います。彼の持つ何処かフワフワした空気が役にピッタリでした。 この物語は正直言って誰にでも訪れる不幸を描いているので、私たち観客に直に苦しみが伝わってくる。しかしその不幸の時に自分の愛する相手とどう向き合うのか、その相手もどうやってその不幸を乗り越えるのか教えてくれる。すごく優しさに満ちた映画だと思います。そういう悩みを抱えている人にこそ是非観てほしいです。 序盤や終盤に時々入る不必要(と言うと怒られそうですが……)なカットが無ければもっと評価が上がったかも。でも時々入る不必要な会話はとても面白かった。 【民朗】さん [映画館(邦画)] 9点(2008-10-03 01:14:31) |
2.《ネタバレ》 映画は救いだと、ある監督が言いました。この作品はまさに救いであり、希望だと思います。何事にも真面目に取り組む頑張り屋の翔子とだらしなく見える法廷画家のカナオ。皆そうなんだろうけど、頑張りすぎるとネジが外れて、崩れてしまいます。苦しいときに苦しいと言えず、悲しいときに悲しいと言えない、そのあまりにも急過ぎる時間の流れの中で、翔子はまるで溺れないようにもがいているように見えました。そんな疲労や苦痛が積もりに積もってしまった翔子は、崩れてしまったのだと思いました。だけど、そんな中でも、翔子のそばにいたカナオはどんな時も目を逸らさず、逃げず、抱きしめ、受け入れようとしているように見えました。現代社会には、人それぞれ異なった人生を歩み、それぞれの事情を背負っているのが当たり前なのに、その抱えているものも見ようともせずに頭ごなしに否定する人々や結果だけ見て、全てを判断してしまう人々、そして生きることは答え合わせではないはずなのに、間違いを恐れ、思い込みに捕らわれ、頭でっかちで凝り固まった考えしかできない人々など、それはもうたくさんの人がいます。それらの常識と呼ばれる凝り固まった考えに橋口監督は「二十才の微熱」の頃から疑問符を投げかけ続けているように思います。その橋口監督の考え方は、簡単に言えば他者への感心や尊重だと思います。ラストのカナオの台詞にも「人、人、人」とありますが、社会は人の集まりなのでそこから逃れることも目を逸らすこともできないのですが、それでも社会は他者への興味、関心、尊重が薄く感じられます。そんな世界で、橋口監督が描いたカナオという人物の、まわりの人間に関心と尊重をしっかり持つ姿勢にはすごく感動しました。法廷であろうと、妻に対してであろうと、ご近所さんであろうと、道を歩くあかの他人にであろうと、彼は関心を持ち、他人を尊重していたように思います。それは理想でしかないのかもしれませんが、僕はあのカナオの姿を目指したいと思えました。 【ボビー】さん [映画館(邦画)] 9点(2008-08-13 19:12:47) (良:3票) |
1.はっきりとしたストーリーがあるわけでなく、フワッとしたりズシっとしたり、なんと評していいか判らない掴みどころのない映画です。140分と長尺でワンシーンワンシーンが長まわしで穏やかなのに、ちっとも退屈だと思わされないのは、ボーっとしてるようで包み込むような優しさを持つリリーさんと、独特な存在感を持つ木村多江の二人から発される自然で重みのある言葉と雰囲気に魅了されていたからかもしれません。 主演二人の絡みは中盤極端に少なくなり、心情や状況もはっきりと説明されずもやもやしながら、二人の会話のシーンを心待ちにしてしまいました。 理解できないのが人間なのだ、というセリフとしっかりと整合されている作り方に感心しました。なんか凄いと思うんです、この映画。 【すべから】さん [映画館(邦画)] 9点(2008-06-27 11:49:59) |