2.《ネタバレ》 これはお見事!作品はアパートの一室からほとんど一歩も出ない。2組の夫婦が、それぞれの子ども同士がけんかで怪我をした解決方法を話し合っている内に今度は大人達が・・・というお話。
アパートの一室から殆ど出ない設定の中、ポランスキーの演出、脚本、4人の演技が三位一体となって実に面白い空気を創り上げています。ポランスキー自身、俳優としてジュゼッペ・トルナトーレ監督作「記憶の扉」(94)にて、ほとんど警察署の取調室から出ない設定の中Gドパルデューと俳優として共演し、ほとんど2人っきりで見事な演技合戦を繰り広げましたが、本作の4人もお見事。
ハムスター、ゲロ、クライアントや母さんからの電話、ウイスキーといった次なるバトルの発端となるきっかけの出し方、そのタイミングも実に自然。
最初は和やかに解決方法を話し合っていた2組の夫婦がこれらきっかけを元に夫婦vs夫婦、夫vs妻、妻vs夫、夫vs夫、妻vs妻、かと思えば夫同士、妻同士が共闘したりと1つの些細なきっかけを発端に自然に対立の構図を変えていく流れも素晴らしい。
気がつけば子どもたちは仲直り、ハムスターも公園で元気。色んな大人の事情を挟みつつも大人気無いおとなのけんかにまんまと笑わされたポランスキーの人間観察コメディ。
原題の意味は分かりませんが、「おとなのけんか」以外のタイトルが考え付かない、この邦題もお見事です。