1.《ネタバレ》 この映画は歌舞伎「勧進帳」のパロディであり、黒沢監督の最初で最後のミュージカル作品です。
この映画を面白くないと感じている方が多くいらっしゃるようですが、歌舞伎の良さがわからない方達でしょう。
黒沢監督がエノケンを抜擢し、重厚な勧進帳にコメディの要素を加え、ミュージカルに仕立てたことは素晴らしいアイディアだと思います。
撮影も義経が強力に姿を変えるところなんか実にうまく撮れています。
貧弱なセットではありますが、予算をかけなくても、アイディアさえあれば、素晴らしい映画できるという好例です。
大河内傳次郎の言うセリフが何を言っているのかよくわからないという方もいらっしゃるようですが、字幕を見ても何を言っているのかわからないと思います。言葉自体が難しいのです。
この映画の鑑賞には歌舞伎の勧進帳を楽しんで観ることができる素養が必要なのです。
退屈であっても忍耐強く繰り返しご覧なさい。そうすれば、きっと一筋の光明が見えるでしょう。