15.《ネタバレ》 再見。
個人的に完成度はTVシリーズ、「喧嘩旅」あるいは「千両首」の方があると思うが、やはり本作を見ずして座頭市は語れない。
今回は「物語」をたっぷりと語る。居合抜きを拝めるのは36分以降、本当に一瞬を積み重ねて終盤の大乱闘まで流れていく。
桜の花見、客をマッサージする一人の男、雪が降り積もった街中、棒を持って手探りで先に進む「市」の姿、旅から旅に揺れて揺らされて揺り動かして、挨拶、梅の香り。
清水宏「按摩と女」にも武闘派の按摩が出てきたな。あの作品も座頭市シリーズに影響を与えているそうだ。
博打から始まる駆け引き、「めくら」と馬鹿にしといてまんまとハメられるヤクザ連中が面白い、無数のヤクザにまとめて喧嘩、死ぬも生きるも大博打、揉む人間が揉まれる、座ったまま正確に物を投げ込む。
釣り、耳、足音、魚の跳ねる音、のどかなようでヒリヒリとした出会い。釣り竿と市の顔が重なる。
鼻血も搾り取る喧嘩売り、目をつぶり抜刀の練習に顔が引きつる女性、座頭市も用心棒も「抜かない」と無駄な闘いを避けようとするが…名前を聞いて眼が変わる瞬間。
畳の一部かと思っものは杖となり、刃となって放られた蝋燭をたたっ斬る!
水辺に投げ出されたもの、釣り仲間への“おもてなし”、盃、死亡フラグ下っ端、闇討ちには返り討ちで、使者と鬼ごっこして“返答”。
忘れ物、おたねにたねブチこもうと太ももをこじ開けようとする兄貴、先に手を出したら負けよ。
感触、弔い、出入り、思わぬ知らせと食い物の恨み、川を突き進む船団、鉄砲を見て決める覚悟とやり取りから伝わる信頼。
贈り物 、薄野から市街戦へと突入、ヤクザも女子供も死んで死んで死にまくる修羅場、血反吐ぶちまけ、橋の上での一騎打ち!風だけが静かにないている。
虚しくもくたばり果てる命、船に積まれる死体の山、隠れ蓑、「馬鹿野郎ッ!」、開かれる酒樽と両眼、返されるもの、本当馬鹿なくたばり方しやがって…。
市の孤独な旅は続く。棒きれを握りしめ、果てしなく。
予告にあって本編にないシーンも必見だ。酒樽への一閃(本編では唐竹割り)、闇夜での一騎打ちと返り血。