2.《ネタバレ》 感情を言葉で表現するのは容易い。だけど、そんなの感情じゃない。「大嫌い」と言えば「大好き」になるし、「出てけ!」は「いてください」だし、人間の言葉はそのまま受け取れるはずがない。それに、たとえ、本心で「好き」と言っても、そんなの十分の一も伝わらない。それが言葉。だから映画は本当の人間の感情を描くという点で、台詞を多用しないよう、昔から数々の表現方法で映画を作り、人物を描いてきたのだと思う。そういった意味で、この作品はまるで映画の教科書のような作品だった。登場人物たちの生々しくも、活き活きとした姿に人間を感じ、そして生きることにとことん苦戦している人間たちを見て、彼らの溢れんばかりの感情をはっきりと画面の中に見た。言葉と行動の矛盾に愛おしさを感じた。ドロドロしているけど、キラキラしていて、大人の行動のように見えるけど、その奥にある弱さは子どものようだった。僕は素敵な人間たちが観れて、幸せでした。