8.《ネタバレ》 ヒッチコック映画史上、最も派手な展開を見せる作品です。
ヒッチコックお得意の「巻き込まれ型サスペンス」で、主人公のケーリー・グラントはわけもわからず陰謀の波に翻弄されていきますが、見ている方も「この先どうなるんだろう」とハラハラしっ放しです。
今見ても、現代のサスペンスやアクション映画は、ヒッチコックに多大な影響を受けているんだという事がよくわかります。
グラントが広大な畑で飛行機に追っかけ回されて機銃掃射を受ける場面なども、今のアクション映画ではよく有る光景なのかもしれませんが、これをこの時代に思いついてやってしまったのが凄いです。
密室ではなく、あんな広い空間でもスリルとサスペンス溢れる恐ろしい場面は作り出せるんだという事を見せつけてくれています。
そして、ヒッチコックは女優を綺麗に撮る天才でもありますが、この映画でもヒロインのエヴァ・マリー・セイントを実に美しく魅力的に見せていますね。
ラストのラシュモア山の場面で彼女がけたたましい悲鳴を上げる場面が有りますが、あれもそれまでの彼女が終始クールで落ち着いた印象だっただけに、余計に効果的だったなあ。
ああやって緊迫感を出したり、女優の意外な一面を出したりするわけですね。
これぞ名演出ってやつですね。