4.《ネタバレ》 私が無人島へ持っていく10枚のDVDの1つです。
最初に観たのは小学生の頃、月曜ロードショーで。それから2回ほどビデオで観て、今回、衛星放送での再観賞です。
冒頭のマルチスクリーンに映るマックィーンとフェイ・ダナウェイ。もうこれだけで「華麗なる」ではないでしょうか。
主題歌に感動してサントラCDも購入しました。
フェイ演じるベッキーはまるでファッションショーのように衣装が変わります。スティーブ演じるトーマスに、恋を抱いていく心境に合わせ、華やかに変わっていきます。
そしてラストシーンになると、フェイは初めて黒いセーターに紫のジャケットという罪の意識を感じさせる服に身を包みます。握っていたネックレスの手の中には「来ないでほしい」と思う十字架が隠れていたかもしれません。
意見が分かれるところですが、トーマスはベッキーを多少なり信頼していたのだと思います。
「金を持って私のところに来てくれ」と書かれた手紙を受け取ったベッキー。しかし、その手紙を受け取る結末に、失ったものが大きいのはトーマスではないでしょうか?
仕事と信じあう愛を天秤に掛けさせられたベッキー。
飛行機の中から見えるはずのないベッキーを見降ろして、サングラスを外すトーマスは、また虚しく新しい人生を歩んでいくのです。ひこうき雲は消えてしまえば、もう戻ることはありません。
どことなく「黄金の七人」や「男と女」のようなヨーロッパのイメージがありますが、マックィーンが他に挙がった大物俳優の候補を抑えて本作の主演を勝ち得た値打ちは十二分にあると思います。