1.《ネタバレ》 自分の行ないがばれないために、そして恐怖によって嫌な臭いを出さないために、
主人公はつぎつぎと女を撲殺していく方法を選びます。
なんでこんなに評価が低いのか首を傾げてしまいます。
最近見た作品ではベストでした。
ナレーションは冗舌。最初はちょっと多すぎる。ここまで言わなくてもわかると思ったのですが、だんだんと計算されたものじゃないかと思うようになりました。
つまりこうまで多いと逆に沈黙部分が異様な意味を持って浮き上がって、強烈な印象を与えてきました。
テーマは「自分の存在意義」ということでしょう。
自分はなぜ生まれてきたのか。
自分なんかこの世にいなくたってかまわないんじゃないのか。
なんの役にたってるんだ?と一度でも悩んだことのある人は必見です。
ネタバレになるでしょうが、
最後の犠牲者・・・彼女は・・他の女達とは違い、無理やり撲殺されたんじゃなく、
彼女みずから犯人に共感して、進んで身を投げ出したんじゃないかと思えるところもありました。
彼女も主人公ほどではないにしろ、嗅覚や勘にすぐれ、
また、僧院にいれられ、好きでもない人と無理やり結婚させられるという・・・
まさに「自分喪失の運命を辿るという予感」に悩んでいたゆえに。
これは主人公とある意味同じ悩みだったと感じました。
彼女を本当に必要としてくれる人間は、彼だけだったのです。