1.《ネタバレ》 世界チャンピオンとか業界のトップの夢を叶えるという話ではなく、ブロードウェイでもとりわけ下のレベルにあたるコーラスダンサーというビミョーな役割に命を賭けた人間たちの青春群像というのが胸を締め付けられる。
オーディションを受ける者たちの様々な人間模様が描かれている。プライドを捨て切れない者、否、捨ててでも踊り続けたい者、過去を隠したい者、年齢を気にする者、技術さえ備わっていればプライバシーが何の関係があるのかと問いただす者、そんな人間が演出家と交錯して一つのドラマが繰り広げられる。
採用される人間とされない人間の本質を観客の私たちでも途中から無意識に見抜けてしまうのも面白い。
私たちはこの映画を通して、過去がどうであれ、自分をさらけ出しながらドライに生きている人間に好感を持つのではないだろうか。
これから役者になろうとしている人たち、または仕事の面接を受けようとしている人たちにとっては教科書的な役割と捉えることもできる。
この普遍的な「人間の魅力とは何か?」を考えられなければ、この映画は「アタシ、別に踊り子になんか興味ないし~」で終わってしまうだろう。
この映画の見所は、人生の全てを賭け「コーラスダンサー」という小さな仕事を手に入れようと情熱の全てを捧げる「魂」がテーマであり、物語自体はオーディションの最終選考の結果発表の時点でエンドマークが打たれる。
最後のコーラスダンスはいかにブロードウェイが素晴らしいか!というアピールだろうが、次第に一人一人の顔が小さくなり、わからなくなっていくのがキュ~ンと締め付けられ、それがとても辛い。
それでも彼らは「コーラスダンサー」という仕事に命を賭けているのだ!!!
落ち込んだ時やテンションが上がらないときに見ると元気をもらえます。
他のレビューに書かれている、突っ込みどころ……とりあえず私は目を瞑っています。(笑)