9.《ネタバレ》 冷徹なシーン・猟奇的シーン・幸福感溢れるシーンを抑揚なく織り交ぜ、淡々にストーリーがが進んでいく。が、これぞコーエン兄弟の真骨頂で最高傑作。 【amier】さん [DVD(字幕)] 10点(2012-12-31 13:54:08) |
8.《ネタバレ》 ファーゴを観るためには滑稽な残酷さに身を委ねるだけでは実は足りない。天才コーエン兄弟は驚くべき映画を作り出した。場当たり的な誘拐とそれをとりまく人々の滑稽な残酷さに満ちているのはご承知のとおりである。唯一実直で堅実な夫婦愛を湛えているのは保安官マクドーマンド(とその夫君)だが、一見もっともまともな存在と思われがちな彼女は妊婦刑事という一点において非存在=フェイクの象徴でもある。だいいちマクドーマンドのみごとな表情からは捜査官らしさのみじんも見られないではないか。取ってつけたような小市民的な夫婦愛に祝福されるラストは観客へのサービスで夫婦愛を見せたのではない。なぜミミズの大写しをことさら夫婦の昼食シーンに挿入しなければならなかったか。なぜ3セントの切手を(わざとらしくも)幸福のシンボルにしなければならなかったか。なぜ不味そうなブッフェランチをかくも大量に食べさせなければならなかったか。みなさんは、今、夫君の顔を思い出せるであろうか。少なくとも私は覚えていない。この映画で扱っている人物や出来事は濃淡の差こそあれおよそフェイクであり、彼女(とその夫君こそ)フェイクの横綱としての扱いを受けているわけだ。ちぐはぐな誘拐劇は観客にとっては一義的なレベルでのフェイクであり、ブシューミやメイシーは誘拐を通じて小心な小悪党のフェイクを演ずるのだし、話の展開もピンボケでつまりはこのお話全体がフェイク(ニセモノ)という入れ子構造になっている。ご丁寧にも「実話」なる違反すれすれの看板がもう一回りフェイクを補強してもいる。ハリウッドの伝統的な犯罪コメディの文法をフェイクにして、映画(産業)そのものまで嗤おうというこの作家たちの気概は恐ろしいほど崇高だ。蛇足を承知で言えば、当然のことながら実存としての「社会」などありえないというのはいいとして、ではフェイクでないものとはなにかという問いに、この映画は言葉やストーリーを介さず明確に回答していることに気がつけば、天才たちの恐るべき映画への愛が東洋的ともいえる深い人間肯定に根ざしていることを悟らされるのだ。 【ただすけ】さん [DVD(字幕)] 10点(2006-06-22 10:30:48) |
7.この映画はとても好きで、つい何度も観てしまいます。話の筋や核心よりも、どうでもいい小ネタが好き。この地方独特な訛りもいいなあ。話は残酷なんだけど、妙にの~んびりとした間(ま)がいいんだよなあ。実は好きが高じて、この映画の舞台であるアメリカ、ミネソタ州ブレイナードに行ったことがあります。この映画にも出てくる伝説のきこり、ポール・バニヤンの遊園地とかありました。なーーーーんにもない田舎でしたけど、いいところだったなあ。 【ふぉんだ】さん [ビデオ(字幕)] 10点(2006-04-15 16:08:17) (良:1票) |
6.《ネタバレ》 大好きな一本。一面白銀の世界で繰り広げられる事件は、どんどんと思わぬ方向へ進んで行きます。よどみのない白銀世界という舞台と、犯人達が引き起こすドロドロのサスペンスが対照的です。この映画、冒頭で「実話」と言っていますが、本当はフィクションだそうです。どこか別の事件を参考にはしているのかも知れませんが、この映画の通りの事件というのはなかったそうです。確認はできないですが、エンドロールにもそう記載されているそうですし、なにより、コーエン兄弟がニューヨーク・ポストにことの真相を明かしています。ちょっと検索すれば出てきますよ。そういう「罠」を含め、どんどんとストーリーに引きずり込まれていく工夫がたくさんあります。よく喋るブジェーミと寡黙なストーメアのデコボコ犯人コンビ、コンビのことを「変な顔」「マルボロマン」といいつつも臆面もなく寝たことを明かす女の子、そしてその方言か知らないですが「ヤー」の連続には笑いを堪えきれません。それぞれのキャラクターもたっていて、あまり知らない俳優でも一回見たら忘れられないインパクトがあります。音楽も不安を掻きたてつつ、白銀世界にマッチしたもので、やはり観るものを引き込みます。ラストは常にあやしい雰囲気をかもし出していたストーメアがすごいことをやらかしてしまいますが、なぜそれほどまでの行動にでたかの背景などを説明することなく終わってしまいます。しかし、それが逆に新鮮で、何でもかんでも説明されるより、謎のようなものを残しておくことで、よりサスペンスとしての不気味さが際立つのだと思います。本当にコーエン兄弟というのは観客を楽しませる才能に秀でているなと感じさせる映画です。「実話」というプロローグを深く考えたら負けです。半信半疑で観るくらいがちょうどいいのです。社会派の監督ではなく、エンターテイメントの監督なんですから。それから、僕はこれを観てブジェーミのファンになってしまいました。ホントに変な顔で、面白くて、可哀想で、いろんなブジェーミを堪能できてしまう。ブジェーミファンなら絶対に観るべき映画ですよ。 【マクドウェル】さん [DVD(字幕)] 10点(2005-06-22 02:08:47) |
5.日常転がっている衝動の罠に引きづり込まれていく登場人物達の悲劇。全ての登場人物の名演、台詞の妙、雪景色や鮮血等々の映像美、映画の武器が最大限に生かされたサスペンス映画の最高峰であると確信します。 【チャターBOX】さん 10点(2003-07-14 15:33:11) |
4.つまらない事を大声で言っている映画はたくさんあります。おもしろい事を小声で言っている映画は希少です。おもしろい事を大声で言っている映画はもっと希少です。そんな中「ファーゴ」はおもしろくもつまらなくもない事を普通な声で言っている感じです。そんな映画他にありません。だからおもしろいのです。 【カエル】さん 10点(2002-10-14 01:22:13) (良:2票) |
3.私が経験したことのないテンポの作品でした。起こっていく出来事は狂っているのに、景色はどこまでも白く美しくて、流れる時間は穏やかで・・・。語彙が貧困で形容する言葉が全然足りないんですけど、とにかく素晴らしいです。感服いたしました。 【ワイプアウト】さん 10点(2002-02-23 02:19:30) |
2.この映画だ~い好き。登場人物が揃いもそろってみーんなバカ。淡々と進むんだけど、中だるみがなくて最後まで惹きつけてくれる。 【ぺる】さん 10点(2002-01-15 12:44:13) |
【草井香】さん 10点(2001-01-19 23:39:12) |