3.《ネタバレ》 今作は、朝鮮戦争を描きつつも、南と北問題を「同胞(同族)問題」と捉えて制作されている。
すでに、「JSA」「シュリ」で南北対立の疑問と問題が描かれている様に、38度線を境に敵対し、同族が引き裂かれた朝鮮人(および在日朝鮮人)の想いを、韓国俳優の笑顔に見とれた人たちには到底理解できないのではと疑ってしまう。
現在、韓国の若者の中で2度と戦争を望まない声と、北との関係に時間をかけ対話によって解決を行おうとする動きが出てきている。
それは、植民地支配、戦争、反共軍事政権を経験し、57年掛けて国民による民主化を得てきた想いが実っているように感じる。
ほぼ同じ時をえたはずの日本は過去の戦争と向き合う事をせず、無視し続けた結果、「戦争はしないが、戦争を最大限に支援する国」へと成り立たせた。
日本のマスメディアは韓流ブームを盛り上げる前に、韓国の、いや朝鮮半島の歴史と想いを知る事(知らせる事)の方が先決で、やるべき事だと私は思う。
テレビ取材に答えた、ある韓国人は
「ドラマ一つで、溝が埋まるなら良い事ですね」と語った。
この「溝」という言葉に気づく事が大切なのである。
「憲法9条改正案」「制裁」「悪の枢軸打倒」。
第二次朝鮮戦争を引き起こし兼ねない言葉の中で、
もうそろそろ日本人が二度と戦争をしたくなくなる、そんな映画が作られても良いのではないだろうか?
「ブラザーフッド」は、韓国人の2度と戦争を起こさせない願いと、
今、映像として自分たちが伝えなければならない事、問題を捉え考える事を見事に描いている。
(「シルミド」が社会現象になる所からも、国民の想いが見て取れる)
この作品は、
日本人である私に、そんな問題を考えさせてくれた作品だった...。