7.私にとってこの映画との出会いは人生の中のいくつかの事件のうちの一つです。
反戦映画のようですが、実のところ、この映画においてベトナム戦争はそれほど大きな意味を持っていません。戦争は、主人公二人をそれぞれ狂気と絶望へと導く要因をわかりやすく表現するための暗喩です。この映画は、実際に多くの場面がそれに割かれているように、セックスと遊びに興味のある健全な青年と、鳥を愛するちょっと変わり者の青年との友情を描いた、底抜けに明るい、田舎町を舞台にした美しい映像の青春映画です。
次第にバーディを極端へと走らせる異常性の兆しは、むろん戦争に起因するものではなく、バーディ自身にもとから内在していたものです。
完全なる狂気に陥り心を閉ざすバーディと、戦争で負傷し心にも傷を負った親友との現在を描くシーンと過去の青春時代の対比が、映画に深い奥行きをもたらしています。後半は胸がしめつけられるような痛みをおぼえる筋立てですが、ラストのあのシーンが、この映画の本質を表象しているのではないかと思います。重いが、救いのある映画です。