81.「やっぱりナウシカやラピュタだね」。この映画を観た多くの方がそう思っただろう。この作品には一個の確固としたストーリー運びの方向性が見えない。あまりにも完成されたナウシカやラピュタとは決定的に違い、この物語では作り手が手探りで取捨選択をしながら(悪く言えば行き当たりばったりに)製作していったような印象を受ける。観客の想像と微妙にズレる展開は監督の意図でなく、むしろ監督自身、この物語が最終的にどこに漂着するのかは分かっていなかったのではないかと思う。事実、もともと橋の上のシーンだけの捨てキャラだったカオナシが、製作途中の流れで、物語の重要なシーンを担う存在になって来たりしている。だから作品のそこここに綻びがある。でも、だからこそ私はこの作品が好きだ。よく分からない話、と片付けてしまうのは簡単だけれども、それこそが監督の意図なのだから。よく分かる映画なんて、ディズニーがいくらでも作ってくれる。監督の言う「間口も広ければ、出口も広い」、つまり万人が気軽に観れ、その万人全てが同じような感想を抱くという、ディズニー映画。その対極にこの映画はある。「間口は広いけれど、出口は狭い」そういう意図の下で製作されたのなら、それは見事に成功している。シーン1つ1つが隠喩に溢れ、何気ない描写に深遠な哲学性すら感じさせる。私は千尋が電車に乗っていくシーンがたまらなく好きだ。この映画の中で、あのシーンは比類なく完成度が高い。物凄く静かでありながら、映画の最高潮としてきちんと機能している。今まで観て来た映画の中で、最も静謐なクライマックスシーンだと思う。監督にとっても、「とにかく電車に乗っていくんだ」と、このシーンが、この映画の制作の上で目指した1つの到達点であったという。静かでありながら、思いに溢れている。ミニマムでありながら、恐ろしく深い。それは本来、小津監督などに代表される、日本映画が最も得意とした描写だ。アニメーションでそういう表現が出来、観客がそれを受け取れるのは、やはり日本だけなのだと思う。言葉でなく、行間を読む。それは本来、日本人が最も得意とするものではなかっただろうか。それを放棄し、「こんな映画訳分からねえ」と吐き捨てることだけは、私は絶対にしたくない。タイトルも本当にいい。千は多くの数、千尋は深遠と悠久、神隠しはその欠如。1つ1つが隠喩。日本人への警鐘。 【ひのと】さん 10点(2003-12-17 16:51:29) (良:11票) |
80.《ネタバレ》 「4駆だから大丈夫」と静かな森を外車で暴走したり、「クレジットカードがあるから大丈夫」と勝手に上がりこんだ店で食い散らかす父親。そして、所詮はどこかから借りてきた知識の詰め合わせでしかないカオナシ(最期は吐き出してまた無口になる)。滑稽なキャラクターたちが、自分にそういう部分がなかったか、こうはなりたくないなぁ、と“社会人”の自分らに考えさせてくれる。それだけでもスゴイ。そして、最後トンネルを振り返る千尋。現実だったのか夢だったのかはわからないが、少女があんなに変わった、本当の意味で大人になった・・・。(トンネルに入ってから)時間が経過したのかどうかもわからないが、そのわずかな時間に人間が変わる―――――。オーソドックスだけれども、すごくいいですね。ちなみに、長いこと日本に帰っていないのですが、この映画ほど日本の美しさを感じさせてくれる映像と音楽の組み合わせ、ほかにありません。観るたびに涙ぐんでしまいます。日本がもっと世界に誇るべき映画だと思います。 【九寨溝】さん 10点(2003-12-25 23:48:17) (良:6票) |
79.何度観ても、唯一無二のテーマ性と、舞台装置にあふれ出るイマジネーションの奔流には圧倒される。全く予想のつかない物語の中を主人公と進む楽しさ、好奇心が刺激される喜び。125分間、子供ともども目をまん丸にして身動きせず見入ったものだった。 ほとばしるような色彩、朱色の鮮やかな和とも中華とも感じる美術をはじめ、藍の深い海列車の夕暮れに出迎えのランプ、具現化された八百万の神々、釜爺のボイラー室の背の高い薬草箱から客室の襖絵に至るまで、ひとつひとつの場面があまりにも印象的で美しく、数多のアニメ映画の中でも別格に位置すると思う。 例えば夕暮れ時の鳥居になぜか心がざわめいたり、道の脇に地蔵様を一体発見しただけでその背景が想像できたりと、異界への感受性は日本人のDNAに刻み込まれているかのように感じることがある。だからカオナシが何者なのかとか、○○は△△の象徴であるとかの説明が無くても、彼らがそこにいることを私はすんなりと受け入れられる。 主人公の少女千尋は宮崎アニメの女の子としては珍しくリアルに近い造型で、怖気も開き直りも親切にされた喜びも、彼女にシンクロしたかのように共感できる。もうイイ年になった私だけど、そう何度観ても。 【tottoko】さん [DVD(邦画)] 10点(2014-11-27 00:34:30) (良:4票) |
78.この作品の素晴らしさは主人公千尋と同じ年代の子供達が見てこそ分かるもの、と思っていたが、何度も観るうちに、いやいやこの滋味が分かるのはせめて30代以降だなと思い直した。ジブリ作品で名作と言われるものには架空の国が舞台になっているものが多いが、西欧あるいは南欧の明るく乾いた陽光が感じられるそれらの背景は年を経るほどに味気なく思えるようになった。今になって、やはりジブリの神髄は日本が舞台の作品にあるとしみじみ思う。匂い立つような緑、昼なお暗い陰翳に富んだ室内、ハッとするような艶やかな夜の情景・・常に目に見えぬ物の気配を漂わす湿度の高い日本的空間を再現してみせるジブリの画力には、いつも涙ぐみたくなるような感動を覚える。海面電車(?)に乗ってるシーンが一番好き。この実在しない景色ですら、私の中の心の原風景を彷彿とさせるような気がして、スルッと染みこんでくる映像に涙が流れそうになる。そこへきて久石譲の音楽がまたすごくいい。このサントラ弾きたさにピアノを習い始めたぐらいだ(^^;) 一見分かりやすいようで色々な隠喩が含まれた深遠なストーリーも秀逸で、カオナシを他人とは思えない私は、弱き者、異形の者への優しさに溢れた作品世界に毎度号泣してしまう。後に海外メディアの評を読んで「八百万の神」という概念になんの違和感もない自分に気付き、これまた日本人である自分を再発見させられた。 【lady wolf】さん [DVD(邦画)] 10点(2004-10-09 20:29:23) (良:3票) |
77.《ネタバレ》 両親を救おうとする千尋の勇気に感動した。 カオナシは今の若者そのものである。 【哀しみの王】さん 10点(2004-03-30 12:32:49) (良:2票)(笑:1票) |
76.《ネタバレ》 会場(劇場)で見なくていまだに後悔している出来事が2つあり、PRIDE崩壊後に大晦日に行われた格闘技イベント「やれんのか」と、この映画を映画館で見なかったことがあげられる。それだけ、この映画をTVで見て衝撃的だった。CM付のTV放送でこの感想なのだから、劇場で見てればなおさら感動しただろう。特にスタッフロールで泣きそうになった映画というのは、後にも先にもこれだけだ。 善悪の区別が無いとかわかりにくいとか批判も色々あるが、この映画は「日本の伝統的な神々の雰囲気を体現する」ことに関しては超一級品。だから、そういう世界観や価値観に触れたことない海外には特に評価されたのだろう。 序盤のホラーな感じとその後のお祭り騒ぎは、まさに日本における幽霊や八百万の神の価値観、それにまつわる祭りを体現したものだと思った。善悪の区分けがはっきりしてないのもまさにそれ。「貧乏神と福の神」の話のように、本来ならば歓迎すべき「福の神」が敵役?となってしまってるように、日本の神々の善悪の価値観なんてその時々。妖怪大戦争でもそうだったように、善悪にはっきりわかれるのではなく、お祭り騒ぎを楽しみましょうというのが日本の神々のポジションというイメージなんだろう。カオナシだって、八百万も神がいればこんなやつもいるだろ程度に捉えておけばいいんですよ。近年、ハリウッド映画などで善悪がはっきりしているキリスト教的な考えに基づく物語構成に慣れてしまっていると、違和感を覚えるかもしれないが。ていうかナウシカだってそんな単純な話じゃないぞ?あれも相当説教くさいし。 もう全編この映画の持つ雰囲気が心地よく、特に電車に乗る辺りからは祭りの終わった後の片づけ中のやりきった感にも似たなんとも言えない空気感が好きである。そして最後のスタッフロール。主題歌と背景が、祭りの撤去後の会場にも似た寂しさがあり、このスタッフロールは個人的に最高のツボだ。ジブリ映画は必ずどこかにハッとするいいシーンがあるが、もうこの映画はスタッフロールまでそういうシーンのオンパレードである。 打投極全てが完璧のラピュタと違い、一芸に秀でた感じのある映画ではあるが、個人的にはラピュタとこれが宮崎駿の2大傑作かと思ってる。 【みーちゃん】さん [地上波(邦画)] 10点(2014-11-27 11:25:40) (良:2票) |
75.色彩、エンターテインメント性、メッセージ性全て私の中では「さすが宮崎アニメ」と言う感じ。文句タラタラだった千尋が、親元を離れて一生懸命働いて成長し、心身共に強くなっていく姿も可愛かったし、きちんと大切な物を見極める目を持っているところがヒロインとして合格!自然を汚している人間達への警告も重くなりすぎずアニメならではの描かれ方をしている。そして人によっては「何者?」でしかないらしいカオナシが実は大事な役割を果たしていると思う。自分の居場所がわからず、周りの者をお金や物で取り込む事でしか自己主張ができない「自分」という色のないカメレオンのような存在・・・だから「カオナシ」。その「カオナシ」が最後銭婆のところで「仕事兼居場所」をもらった時、初めて嬉しそうな顔をする。(ように私には見えた)あの時カオナシはカオナシではなくなったのだと思う。「子供にしか良さがわからないのでは」という意見を読むと、それは宮崎監督の狙い通りだったんだなと嬉しくもなった。子供達に是非観て欲しい。そして「働くと言う事」「全ての物(質)に神様(心)が実は宿っているという事」「忘れている出会い(ハク:白龍川)がこの先出てくるけれど、全ての出会いに意味があると言う事」「相手の心を自分に向けるに必要なのは、物やお金ではないという事」「大切な物は心で見分けるのだと言う事」など色々な事を感じて欲しい。私にとってはトトロの次に大好きな作品。 【えりっぺ】さん 10点(2003-06-03 04:55:11) (良:2票) |
74.《ネタバレ》 22年ぶりにDVDで観返しました 私の娘が小さいときに家族で観た思い出補正も入って10点にしました。 主人公の千尋が自分の娘と重なったこともあり感動もひとしおでした。 最初から最後まで飽きさせない演出はさすがです。 宮崎駿独特のアクション、ハクを心配して建物の上を目指すときには、未来少年コナンや、カリオストロのルパンを思い出し、 ニヤリとしました。 そしてなんといってもラストのハクと一緒に夜空を飛びながらハクの名前を思い出し、それが小さいときに千尋がおぼれた川の名前だった 。だからハクは千尋のことを昔から知っていたという伏線が回収されたときに鳥肌が立つほど感動しました。 この映画には、ファンタジーや、アクションや、コメディや、ラブストーリーや、感動とすべてが含まれているのです。 アカデミー賞を獲ったのもうなずけます。 その娘が今年大学4年になり、就職活動で奮闘する姿がまた千尋と重なりました。 最後に素晴らしい作品に出会えたことをを宮崎駿先生に感謝したいと思います。 【キャメル】さん [DVD(邦画)] 10点(2023-07-29 23:44:27) (良:1票) |
73.《ネタバレ》 大好きで何度も観てしまう映画。 公開当時は月に何度か映画館に通っていて、その際に千と千尋のCM(オープニングから両親が豚になるまでの冒頭映像)を観て、『宮崎監督、今度はオカルト映画を作ったのかな?』と、その世界観と、今までとは違う“美少女じゃない”主人公に引き込まれた。この時点でもうこの映画が好きになってた。 過去の経験から宮崎映画は子供連れが多い。今回レイトショーを選んで正解だった、静かに鑑賞できた。 日常の風景から早々に知らない世界に放り投げられる感。ナウシカもラピュタもそうだけど、架空の世界を作らせたら宮崎監督の右に出る者がいないと思う。 日本が舞台なだけに、初めて見るけどどこか懐かしい飲食店街。現実にありそうでない油屋の建物。山形の銀山温泉、群馬の四万温泉、愛媛の道後温泉、台湾の九份…ズバリここです!って場所がないぶん、却ってあっちこっち温泉地や繁華街から、良い意味での既視感が感じられ、日本の文化って、良いなぁって再認識させてくれた。※油屋の湯は沸かしの薬湯っぽいから、温泉じゃないと思うけど、ちょうどこの頃温泉ブームだったね。 八百万の神ってのも良い。見た目が怖かったりするけど、大根やひよこが神様っていう日本古来の神に対する考え方は、最強だったり奇跡を起こしたりの海外の神様と全く違って、発想がほのぼのしてて、穏やかだなぁ。たぶん私の根っこの部分がすごく共感したんだな。 「ここで働かせてください!」「私のことはハク様と呼べ」「おめぇ良くやったなぁ!」建前と本音、上司という存在、職場の友人…遊ぶための小遣い稼ぎのバイトではなく、生きていくために働くこと。私自身が社会に出て間もない頃だってのもあって、温々した学生生活から、突然社会に自分を合わせなければいけなくなった千尋の気持ちがよく伝わった。 初日震えながら知らない部屋の布団に入る千。後日その部屋で肉まん?を食べる千。自分の家じゃないけどホッと出来る部屋になってるのが良かった。そう、休憩室とか食堂とか、会社でホッと出来る居場所って大事なんだよ。 千の気持ちになって物語を楽しんだけど、失敗しながらも自分の力で努力する千と、何も積み重ねてないカオナシ。こういう中身のない大人いるよな…一歩間違えると私もカオナシだ。それと同時に自分の居るべき場所って大事だなって思った。カオナシはひとまず銭婆のもとに行けてよかった。 最後に湯婆婆を「お婆ちゃん」と呼ぶ千尋。退職した怖い上司が、ただのお爺ちゃんになっていたのを思い出した。社会の仕組みはどこも似たようなものでも、会社の関係は所属中だけのもの。あんな怖い湯婆婆も、外から見ればただのお婆ちゃんなんだな。 なんかすっごく話が反れてしまってるけど、仕事で辛い時、ここで頑張ってる意味を再確認したい時とかに観たくなる映画。 で、観た後は温泉行きたくなるんだよなぁ。 【K&K】さん [映画館(邦画)] 10点(2021-08-09 22:23:50) (良:1票) |
72.ジブリ作品の中で一番ワクワクした映画、また観てしまったけど相変わらず面白かった。 【マンデーサイレンス】さん [地上波(邦画)] 10点(2014-12-01 13:23:43) (良:1票) |
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71.今時少女売春を賞賛した驚くべき作品。子供の売春どこが悪い!という危ない主張の込められた映画を日本中のよい子たちに見せたのだから宮崎監督は本当に逝っちゃっている。誤解しないでほしいが、けなしているのではない。古き良き、おおらかな日本の性風俗に対しての深い共感が胸を打つ。私には幼女趣味はないが、多くの人が “当たり前” と疑わない現在の性道徳に対し、くさびを打ち込もうとする宮崎氏のその勇気ある姿勢には尊敬の念を禁じ得ない。 但し普通の映画作品として特に面白いわけではない 【皮マン】さん [DVD(邦画)] 10点(2013-04-10 13:17:36) (笑:1票) |
70.公開時、3回も見に行ってしまった作品。 今回久しぶりに見たけど、やはり凄いなあ。 宮崎駿の作品は、自分の趣味と違うんだけど、これだけは別。 企画の段階からして凄いと思う。 日本独特の宗教観である八百万の神を描くってことは、外国で売ることを拒否しているのと同じ。 でも、これはまだいい。 しかし、主人公をブサイクにするってのは、キャラクター販売を拒否しているのと同じ。 これは解せない。このストーリーの中で、ブサイクでなきゃいけない必然性がない。 単に、宮崎駿のワガママとしか思えない。 普通、こういうワガママし放題の映画(=作家性が強い)は、ひっそり公開されてひっそりと終わる。 ところがコイツは、大宣伝とそれに似つかわぬ奥の深さで史上最高のヒット。 では、この映画の良さって何だろう? 自分の場合は、今セピア色で覚えている5歳頃の漠然とした不安を、極彩色でキッチリ映像化してくれたことにある。 特に序盤、日が暮れて元に戻れなくなるシーンは、まさにそれで、本当に見事。 それから後も、たくさんの不安定なキャラクターと映像で、自分を釘付けにした。 終盤は、ちょっと説明調で慌ただしいけど、これはこれでアリだろう。 大の大人に疑問を抱かせないテンポがあって、なんだかわからないけど涙が出る。 初めて宮崎駿を天才だと思った。 この映画は凄え。 【まかだ】さん [DVD(邦画)] 10点(2008-09-24 00:23:12) (良:1票) |
69.出だしがいいですね。普通なら描かれるハズの背景、主人公の置かれた日常的立場みたいなものはサッパリ描かれず、いきなり非日常へ放り込まれる主人公、そして僕達。これがもしかしたら、実は本作のキズになっているのかもしれないけど、いいじゃないの。どうせ日常にはウンザリしてるんだし、せっかく映画観てるんだから、日常描写なんかすっ飛ばしてとっとと異次元に放り込んでもらうのもまた結構。で、この冒頭。子供の頃って、親の事、無条件に信じて頼りきってる・・・と言いたいところだけど、時々、親の行動が不安になる事が。さすがにそんな事やっちゃマズイんじゃないの、誰かに叱られるんじゃないの・・・まあ大抵は杞憂なんですが、どうにも不安でたまらなくなる瞬間。この映画も、そんな瞬間から始まる。しかも杞憂どころか、エライ展開に。あとはもう、めくるめく、コワ楽しい摩訶不思議な世界をこれでもかと展開してくれて、やめられない、とまらない。面白かった~。どうもでもいいけど、主人公がハクの龍に乗って飛ぶシーン、つい「ぼうや~よいこだねんねしな~」と口ずさんじゃったね(←ほんとにどうでもいいなあ)。 ところで、こういうアニメ作品は、まずは絵の動きの緻密さに目を奪われ、圧倒されちゃうわけですが、その一方でフト、「最近の実写映画が見失いがちなものが、アニメ映画には残っているんじゃないか?」なんて事を思ったりもします。アニメの方が世程、映画の「場」を大事にしているのでは? まあ、カメラを自由に動かせないという、アニメの制約に起因する、単なる結果的なものかも知れませんが、映画の「舞台」をよく捉えており、またアングルの中と外の関係(画面に捉えられていないものを観る側に想像させる)にも神経がよく使われているように感じられます。とりあえず、映画を観た後で、映画の中の舞台・情景を「懐かしい」と感じさせることができれば、それは映画の一つの成功でしょう、その意味で、この映画にも満足を感じることができました。 【2011年10月4日 8点→10点に変更。最近、この作品がいとおしくてたまらない】 【鱗歌】さん [地上波(邦画)] 10点(2005-01-08 00:00:05) (良:1票) |
68.評価低いなー。僕なんか観終わった後、しばらく言葉がなかったです。余韻だけでお酒がイケました。何が面白いって理屈じゃないっしょ。めちゃ高い階段とか、めちゃ労働してる黒いちっちゃいやつとか、名前が忘れそうになっちゃったりとか、顔ナシはほとぼりの冷めたヤンキーみたいだし、海みたいなのに浅くて電車が走るし、、そりゃガイジンだってビックリするでしょ。目から鱗でしょ。ファンタジーとリアリティーのさじ加減が絶妙なんだと思う。宮崎作品はほとんどそうですよね。 |
67.ノルシュテインを除けば、アニメがすべての映画芸術を凌駕したと言えそうなのは、この「千と千尋」だと思う。(これを酷評したがる奴がいるなどとは、ここに来るまで、夢にも思わなかった) 【青人】さん 10点(2003-04-27 04:37:27) (良:1票) |
66.全体がどこかから流れてきたなつかしい音色のようで、心に響きました。子どもの頃に生まれたての仔犬をさわった時のような、それでいて草むらで鳩が死んでいるのを見つけてしまったときのような、不思議な感覚でなぜか涙があふれました。やっぱり、宮崎監督大好きですね。 【まっくろくろ】さん 10点(2001-08-21 20:18:52) (良:1票) |
65.《ネタバレ》 映画公開当時に映画館で鑑賞。 主人公、千尋の成長物語ではあるのですが、不思議な世界の魅力がとにかく溢れまくってます。 特に電車のシーンでの黒く塗られた人々や、海の中の踏切、遠くに見える家やネオン等は世界観の説明として機能してるのですが、見る者の想像力をこれでもかと駆り立ててくれます。 そしてカオナシや湯婆婆等の千尋を取り巻くキャラクター達も皆どこかコミカルで面白く、物語をグイグイと引張っていき、あっという間に終わってしまいます。 あと、こんなにエンディングが素晴らしい映画は他に類を見ないと思っています。 不思議な世界への名残り惜しい気持ちを胸に、物語へのせめてもの手掛りを探して「いつも何度でも」の歌詞にじっと耳を傾ければ、なんとも神秘的な歌詞に心をじんわりと温められます。 エンディングの背景も音楽もとてもシンプルなのに、スタッフロールが尽きた後の余韻までもが非常に心地よいです。 【Fukky】さん [地上波(邦画)] 10点(2014-11-22 21:52:22) |
64.《ネタバレ》 雰囲気、空気感、そんなとりとめもないことが心に残る珍しい映画 |
【pillows】さん [DVD(邦画)] 10点(2014-04-08 02:34:53) |
62.これまでジブリ作品ではラピュタが一番好きでしたが、ぶっちぎりでこの作品が№1になりました。特に千尋がカオナシと一緒に電車に乗るシーンは、言葉で表せないくらいの感動を覚えました。美しい色合い、作品の世界観、キャラクターなど、すべてが魅力的でした。これは、ストーリーがどうの、意味がどうしたとか、理屈で理解するのではなく「感じて楽しむ」ための映画だと思いました。ブルーレイは画面は赤くないようなので買う予定です。 【ramo】さん [DVD(邦画)] 10点(2012-10-15 12:19:41) |