2.《ネタバレ》 森の中に隠された木の葉をみつけるやつって、運いいよな。さて、迷作にして前代未聞の名作である。酷評の多さがそれを如実に物語っている。原作は読んでいないのでなんともいえませんが、映画の方はとんでもない一大エンターテイメントである。TVやインターネットといったメディアを主軸に置いた、突拍子もないある種の劇中劇であるともいえる。狂気のすべてをメディアに向け、死してなお自分の遺伝子でもって社会に挑戦する希代の犯罪者ピース。何も知らない生まれたばかりの我が子に犯罪の最後を飾らせる。そして犯罪者の子を預かることの重圧。これのどこに感動があろうか▼原作すら手玉に取り、44の謎などとメディアを揶揄するかのような森田監督のとった行動。そしてネット上に飛び交う、客観性の欠けた無数の匿名のやりとり。そういったものをどこぞの映画でみた気がしないだろうか。その映画はあってないような曖昧なストーリーで、犯罪を興味本位でかつ他人事のように見る人間が多く登場し、主要人物はどこか一点ずれている奇妙な奇妙な作品。この映画をみた人たちのほとんどが困惑し、ネットのレビューサイトでは0点のオンパレード。現代社会を痛烈に批判するその作品中、主人公は自分の犯罪をこう評するのです。「前代未聞です」と▼ちなみにこの映画を作った監督は爆死したとかしてないとか。そして一本の意味不明な映画が残りましたとさ。……さてさて、真の模倣犯やいかに。