1.《ネタバレ》 完璧な恋愛映画。最初は少々ジャンヌに腹が立ったりもしてましたが、途中から怒るのをやめてしまった。フランスらしく、自分の欲求と感情に素直な女性らしさを皮肉もいやみもなくさっぱりと美しく描き出している。もちろんジャンヌ・モローの見とれるほどの美しさに負うところが大きいのも確か。冒頭からジャンヌが抱えている苛立ちは、決して夫に対するものではない。夫はすでに過去になっている。彼女はただ一つかけている何かを、形も分からないまま探してさまよっているのだろうと感じた。そして逢引の夜にその何かが見つかる。それは相手の男ではなく、男の行動。その行動によって彼女は自分をさらけ出す恥を取り去り、自分の心に初めて素直になれた。そして全てが満たされて完成されたのは100%純粋な自己愛。これはもう、恋愛とは女性のためだけにあるものだ、とはっきり言い切ってしまったようなものだ。参った。ラスト近くで、ジャンヌが鏡を見るシーンで、これはもうケチのつけようが無い映画だと確信した。ああいうシーンを入れられるかどうかが、名作と佳作の境目だと思う。