1.面白かったです。マイケル・ムーアのパロディなんじゃないの?と思うようなファストフード版「ボーリング・フォー・コロンバイン」なんですけど、敵がファストフードだけにそれほど深刻ぶらずに済みました。自ら被験者になる、という過激なパフォーマンスはアメリカ人ならではの売れよう根性だと思いますが、バカバカしさの中にこれまで誰も言おうとしなかった「肥満」に対する重要な警告が込められていて、タッチは軽いですが非常に重要な作品であるとも思います。特にアメリカの高校生が学食で当たり前のようにジャンクフードを食べていることや、栄養の不均衡が集中力や学習意欲を低下させることをきっぱり告発した姿勢は見事でした。
アメリカ人がいかに肥満しているか、というシーンで日本の観客からは「おぉー」というどよめきが上がったんですが、実際アメリカであのぐらいの肥満は少しも珍しいことではないです。これはちょっとでもアメリカの土を踏んだ人なら全員が実感していることだと思います。1週間も居れば、自分はちょっと栄養不良なんじゃないかと思えて来ますから。
一方的にファストフード・チェーンだけを批判するのではなく、それを安易に利用するアメリカ人の生活習慣、外食依存型のライフスタイル、運動量の低下など消費者側の問題点にもきちんと触れている点にも好感が持てました。ただしファスト・フードの手軽さ、価格の安さ、それに頼らざるを得ない貧困層のジレンマまで含めてしまうと結局マイケル・ムーアの世界に突入してしまうので、本当はそこまで掘り下げるべきだったのかな?とは思います。
この作品は実際にマクドナルドからスーパーサイズを廃止させ、いくつかの高校からは清涼飲料水を撤去させました。そういう意味でも、価値ある作品であったと思います。