3.《ネタバレ》 観る前の予想に反して、泣けた泣けた。
ホームシックになって仕事中も泣きそうなエイリシュ、姉からの手紙を手にして号泣するエイリシュ。手紙を何度も読み返すエイリシュ。知らない人ばかりのニューヨークの雑踏の中で寂し気な表情のエイリシュ、もう泣けて泣けて。
これ入力してる今も思い出して泣ける。
でも自分を愛し特別な存在としてくれるトニーが支えとなり笑顔の接客ができるようになるのね、
すごくよくわかるわぁ。人ってやっぱり拠り所っていうのは必要なんだなと。
けれど、そんなトニーのこともどこか迷いがあって多少成り行きみたいに入籍しちゃう。そして故郷へ帰れば垢抜けて簿記の資格もあるエイリシュに手のひらを返したような好待遇。そりゃそうなったら迷うよね、ひとりになった母親のこともあるし。
そこにミス・ケリー、エイリシュは「ここ」は故郷だけど生きていく場所ではなくなったことをはっきり自覚する。
何かある度に街中に知れ渡り噂になる、放っておいてくれない街なのです。ニューヨークとの決定的な違いってそこなんじゃないかなと。もとから規模が違い過ぎますけどね。自分を気にする人は大切な人たち、限られた人たちだけでいいと思うんですよね。
アメリカ行きの船で偶然相部屋になった人が「帰るんじゃなかった」みたいなことを言ってたけど、その意味が理解できました。母や姉も下宿や職場の人たちもぱっと見はきつそうなんだけど、実は思いやりも優しさもありサラリとしていていいですね、干渉しすぎない人たち。ラストのトニーとの再会のとこでまた泣けた。泣かせようとしてるものは特に無いのにこんだけ泣けた映画は初めてかも。個人的にそこが高評価の理由にもなるかな。
特別なことはないけれど50年代と移民を背景に、ひとりの女の子の自立、成長、自分の人生を掴むというものが丁寧に描かれていていると思います、映像も美しい。アイルランドの色であるグリーンと髪の色のコントラストがいい、トニーと付き合いだしたころからコートの色がグリーンから赤に変わる、船の相部屋のお姉さんも赤いコートだったっけ。
スパゲティを知らなかったエイリシュがアメリカに馴染みだしたサインなのかな?シアーシャ・ローナン自身アイリッシュなんですよね。
トニー役のエモリー・コーエンは初見なんですが、どうかするとジョニー・デップに見えるのよ、特に目が似てる。
ところで簿記を英語でも「ボキ」と聞こえて「bookkeeping」がそのまま日本語になったと知りました、洋画を観て知ったことがまたひとつ増えました。簿記検定の経験はあるけどそんなこと言ってた先生はいなかったような気がする。