7.《ネタバレ》 天才テリー・ギリアムによる奇想天外な冒険ファンタジー
1981年に公開されたこのファンタジー映画は、まだデジタルVFXのない時代に、それを逆手に取ったような超リアリズム映像とアナログSFX、ユーモアと風刺と不条理と遊び心で〝時間と空間の抜け穴を記した地図〟を巡る冒険を描いた物語。
イギリスのコメディ集団「モンティ・パイソン」唯一のアメリカ人で、「未来世紀ブラジル」「12モンキーズ」など独特のブラックユーモア的世界観の傑作を生んだテリー・ギリアム監督が、虚実入り混じった歴史の名場面、誰もが知っている童話、果ては神と悪魔の対決を、ごった煮スープのように詰め込んで料理したカルト映画です。約2時間の空想の旅を、少年・少女に戻ってご賞味して頂きたい。
アガメムノン王やロビンフッド、ナポレオンの話をしながら親子で楽しんで観るなら、日本語吹替版がオススメ。
余談だが、製作35周年Blu-rayの吹替え音声は、新たに吹替を追加しTV放映のカット部分を補完した完全吹替版となっている。デヴィッド・ワーナーの魔王はテレビ吹替えと同じ羽佐間道夫さんが再演。また、TV版で主人公ケビンを演じていた浪川大輔さんが再録ではケビンの父親役で出演している。
現在、映画における架空世界はすべてCGIで描かれいて、それはそれでCGならではの完璧な美しさがある。が、ほんの十数年前までは、本作のように実物大のセットとミニチュアを撮影し、光学的にアナロク合成していた。決して完璧ではないが、だからこそ実在感があり、温かさがあり、いびつな魅力を持ち、結果、シュールで味わい深い映像が生まれている。
テリー・ギリアム監督の作品は、非常にこだわった美術が特徴なので「バンデッドQ」に魅力を感じたら、「モンティ・パイソン・アンド・ホーリー・グレイル」と「バロン」も是非、観て欲しい。
劇場で見た時から至高の映画なので10点。(客観的には…7点)