1.《ネタバレ》 見ていてこれは小津版のキャンディーズの『微笑がえし』と言うかレベッカの『スーパーガール』なのだぁ!と思いました。ああ、判りづらい喩え・・・。『晩秋』の設定を父娘から母娘に変えて、小津映画オールスターキャストで贈る(杉村春子が登場しないのが残念)セルフパロディ映画状態。トリスバー、LUNA、BAR ARROW等のお馴染みの店、修善寺のホテルの鯉の話、天気の会話等、これまでの小津作品へのリンクがいっぱい。『東京物語』のその後のような設定もあり、これまで脇役として登場していた人々の、それぞれの家庭が描かれたりもして、一応他の映画とは別のキャラクターだけれども、同じキャラクターとして見て下さって結構ですよ、みたいな感じ。なので一つ一つのエピソード、キャラクターのリアクション、台詞が楽しくて嬉しくて、『小津祭り』映画を存分に楽しみました。これまで時代の流れによる家庭の変容を、かなりシビアにシニカルに描いてきた小津監督(カラー時代になってからは少し傾向が変わってきた感じもしますが)が、自作のキャラクター達みんなに優しく平和を与えた、みたいな映画でした。ラストの原節子ひとりぼっちはやっぱり淋しい終わりになってますけど、『晩秋』の笠智衆ほどの重さが感じられないのは、母娘を心配してるんですよ、って人々がいっぱい描かれているからでしょうね。特に岡田茉莉子の存在が大きくて。この映画の彼女は本当に魅力的で、ゆったりと時の流れる小津ワールドに現われた旋風のようなインパクトがありました。それにしても見る順番って大切。諸作を見た上でこの映画を見たからこそ、こんなにもウキウキ楽しめて、だからこの点数を付けちゃうワケで。