1.日本人が見ればあまりにも殺風景なイスラエルの小さな町。バスを乗り間違えてこの町へ迷い込んでしまったアレキサンドリア音楽隊(エジプト人)の一行。画面の中からイスラエルの風景が持つ乾いた暖かさが伝わってきます。どこにでもあるようなとまどいとためらいの中で、かつて敵対していた人々の心が通い合い、そしてとうとう、大きな苦悩を背負うエジプト人の隊長がほんの少しだけほんとうのことを言います。それはほんの少しだけだけれども見る人に大きな感動を与えずにはいられません。エジプト人の若者によるイスラエル人の若者への恋の手ほどきの情景もほほえましく、そしてやさしく、たった一晩のできごとながら、見る者に多くの余韻を残す佳品です。