1.《ネタバレ》 ラストシーン、デヴィッド・ボウイのイントロが流れ始め画面が暗転した瞬間、私は思わず拍手してしまった。
この様な感情の昂ぶりは久しぶりかも知れない。
第二次世界大戦の敗戦濃厚なナチ政権下のドイツが舞台、しかも主人公の少年のイマジナリー・フレンドはあのヒットラーと言う、
一昔前ならばタイカ・ワイティティ自身が暗殺の標的にになりかねない様なとんでもない設定。
この様な設定の中で、本作の様な「ファンタジー」を一つの映画として具現化してしまった監督のセンスと手腕に感服するばかり。
タイカ・ワイティティがナチ思想とか極右とか言う意味では決して無く、映画と言うものがクリエイターが頭の中で思い描くものを
表現する「芸術」であるなら、本作はまさしくその本懐を遂げているのではないだろうか。
また、私はあのポール・ヴァーホーベンの名(迷)作「スターシップ・トゥルーパーズ」を思い返しながら本作を観ていた。
作風は両極端な位に全く異なるが、両作には共通する「肝」が有る様に思える。
主人公の少年は並居るスカヨハ(祝、アカデミー助演女優賞ノミネート)、サム・エリオット他の磐石の演技を差し置いて、
主演男優賞に何故ノミネートされないのか不思議なくらいの名演を見せている。
アカデミー作品賞、獲って欲しいなぁ!