1.タイトルに『ジャンゴ』と入れている以上、見る者は、セルジオ・レオーネのじゃなく、セルジオ・コルブッチのマカロニ・ウエスタンを念頭に見るんじゃないのか、と思うのだが、これがものの見事に裏切られる。主たるモチーフは、レオーネでもコルブッチでもなく、クロサワなのね。紛らわしい。だったらタイトル変えてくれ。そのくせ、この監督はインタビューで「(佐藤浩市が)ジャンゴってからには、レオーネじゃなく、コルブッチなんだな、と聞いて来て、それで全て説明も要らなくなった。彼は全てをコルブッチの世界で作ってきてくれた」といった中身の発言をしており、笑止千万、お恥ずかしいのでやめてちょーだい、と言いたくなる。何がコルブッチだ。まあ、本人がそう思っているのだから、百歩譲ってそれはいいとしても、役者たちの英語のド下手ぶりといい、ギャグのセンスといい、このような元ネタ有りの映画を作るには、あまりに使用材料が悪すぎる。豪華キャストだと言われているけど、あの中で一体、何人の役者がこの映画の主旨を正確に理解し、納得した上で演技しているのだろうか? 今、自分のしている演技、発している台詞が、この映画の中でどんな意味を持つのか、どれだけ分かってやっているのか? 彼らは、たとえばクランクアップの後に、打ち上げなどで「いや~、良い映画に参加させてもらえて光栄です」とか「いや~、三池作品に出られてうれしいです」とか、言うんだろうか。あの、桃井かおりもそんなこと言うんだろうか。もし、彼らが本心でそんなことを述べていたとしたら、もう、日本の映画界は終焉だと思う。個人的には、監督の自慰映画につき合せられた俳優陣に同情したいのだが。いや、それ以前に、こんな企画、蹴れよ、と言いたい。しかし、木村佳乃。色気ねぇ~、踊りヘタ~。違う意味で同情したよ。