1.《ネタバレ》 この女主人公はどう見てもただ格好良さそうというだけで救助隊入りを志望しているし、使命感や動機や責任感、そしてチームワークによる事態の対応能力や処理能力など微塵も感じられない。しかも、命令無視、口頭のやりとりでの反抗(=一分一秒を無駄にしている)、自分の技術や体力と比較して達成できる見通しのない行動への突入など、人的・物的リソースも時間も極限まで限られた状況においては「絶対にやってはいけない行為」のオンパレードなのである。そしてそれをこの作品はヒロイックに描いてしまっているし、しかもその着地点は「天候が回復して救助されてめでたしめでたし」という醜悪さ、陳腐さ。そんな安直な視座しか持っていないから、山岳救助の厳しさや原動力など、毛ほども描かれていないし、伝わってこないのです。輪をかけて最悪なのが、随所で予定調和的に炸裂する絶叫情緒演出であり、こんなことをいくらしていても見る側は「またか」「あー、やっちまった」としか思わないことにいい加減気づきましょう。