5.《ネタバレ》 ここまで嫌悪感しかおぼえない映画は久し振りに観た。
ありがちなモンスター映画を装い、観客に毒を吐き絶望と嫌悪の底に突き落とす映画だ。
映画制作者の姿勢として最低。
キングの中編小説『霧』は何年も前に読んで、漠然とした恐怖が印象に残ったが
敢えて霧の中で終わる小説からは、まだ救いを想像することも出来た。
だが映画には希望どころか情けの欠片もない(知性もない)。
何しろ、小説で霧の中に踏み出していった主人公たちの、悪趣味な結末を映画は描いている。
それも無駄に丁寧に、ダラダラと時間をかけて、真綿で首を絞めるように如何に救いがない状況か見せつけ、あの結末に至る。
演出の技は認める。が、あの無駄に皮肉めいた結末は、悪乗りとしか言いようがない。
今までダラボン監督作品は好きな部類だったが、この映画の記憶が褪せるまでは観ないだろう。
もう一つ、この映画が最悪なのは、
結末変更を提案された原作者・キングに『思い付いていれば原作もこの結末にしただろう』等と
今更余計なひとことを言わせてしまったことだ。
そりゃないぜ。