4.《ネタバレ》 山田悠介原作の映画化。
以前に、小説が面白いと聞いて読んでみたが、ある意味衝撃的だった。
内容以前に、文章が間違いばかりだったことに驚き。
これをろくに校正もせず、商品にして世に出せたのがすごい。
発想だけはマンガ的で少し変わっていたので、それを映画でどう生かせるかに興味があった。
映画では設定がパラレルワールドになっている。
その設定が妹(谷村美月)の口から説明されるが、いかにもご都合主義。
いくつか矛盾点が引っかかって、すんなり入ってこない。
セリフも展開も、陳腐でクサい。
まるでコントを思わせるような場面も散見する。
これなら、マンガかゲームにするほうがよっぽど適している。
ご都合主義で作り出した設定を伝えるため、妹の説明セリフが長々と続く。
破綻しているストーリーを、破綻していないように見せるため、ジタバタしている感じ。
佐藤姓の人間を全員抹殺するための理由を、もっともらしく作っているが、これがまたつまらない。
説得力のある理由にしたかったんだろうけど、逆効果。
原作にあった、王様の馬鹿げた思いつきのような軽いもののほうが、シニカルで面白いのに。
原作の一番使えない部分(酷い文章)を捨てて、一番使える部分(発想)を利用できたはずなのに、原作を下回るとは…。
材料がどうあれ、料理人が上手に使えなければどうしようもないということか。