2.設定はもろコメディーなのに、シリアスタッチの展開なので何とも妙な雰囲気。
当然ながらストーリーの粗も目立ってしまう。まず物語は事件が起こるシーンから始まるので、
それまでどんな夫婦関係だったのかがわからず、これがこの作品の大きな致命傷になっている。
また人気のあるアイドルタレントを主役に据えたため、本来なら話の中心になるはずの父親の
心理描写がしっかりと描けず、非常にバランスが悪い。彼が一番苦悩を覚えるはずのシーンも、
単なる広末のサービスカット的な役割になってしまっている。
後半からラストにかけては"秘密"というほどのヒネリもなく、あまりにも陳腐な展開。
一応"夫婦"というものを軸にお話を進めていたはずなのに、いったい何を伝えたかったのか。
本作から感じることができたのは中年男の悲哀さだけ。小林薫は目立つ役者さんではないが、
相変わらず安定感のある演技を見せてくれて、何だかかわいそうだったわ。