1.《ネタバレ》 この作品は全く映画向きではない。作中でも金田一らに自嘲ぎみに言われているとおり、登場人物の人間関係が非常にややこしい。それを、セリフを一度聞き逃せばもう再び聞くことが出来ない映画で視聴すれば、その人間関係を理解するのは非常に難しいであろう。今回私はこの映画をビデオ(DVD)で見たのだが、何度も巻き戻してセリフを確認したり、人間関係をメモったりした。それでもほとんど理解できなかった。これだけ必死で見ても理解出来ないのなら作品として失格である。
ミステリーとしても褒められた出来ではない。犯人には全く意外性がない。「犯人はコイツしかいないだろう。でもまさかコイツが犯人なら当たり前すぎて面白くないから違うんじゃないの?」と思える人物が犯人である。それってどうなのか。また、最後にあかされる事件のあらましを聞いても、ミステリーで当然あるべき「ああなるほどそう言うことだったのか」と思えるような事実はほとんどない。金田一作品でキモとなる「人間関係の意外な事実」も先ほど述べたように、そもそもの人間関係を理解出来ていないので全く意味がない。
昔の映画はえてして今見ると鑑賞に耐えない出来のものが多いが、この作品においては、現在はもちろん、公開当時に見たとしてもとても面白いと思えるようなものではないであろう。