1.観ていく内に次々と断片的に映し出される各生徒の風景。映し方はおもしろいのだが、執拗に顔をアップにする意味は何だろう。冒頭部分から中盤にかけて映し出されるのは高校生のごく普通の日常生活のようだ。ただ、ある生徒が映し出された時から違和感というか、何か不純物が混じったなという感じがした。そしてどうもその辺りからこの映画の内容が大体つかめてくるのだが・・・。
まずこの映画には主人公というものは存在しない。監督の視点がそれなのかというとそうでもない。後ろから追い続けるカメラはあくまで我々の視点なのであって、どうやら何がどうという事ではないらしい。そして見終わって気付くが、映画の冒頭で感じた、「何故顔を執拗に撮り続けるか」という疑問に対して意味はないのだ。後に死にゆく者の言動でさえも意味は無い。この辺りが実に本作の憎らしい所だ。一見何気ないようで、ん?っと思ってしまう場面(カフェテリアでの女生徒達のいざこざや、写真を撮らせてくれと頼む場面等)は本当に何気ないだけなのだ。だが撮り方が巧いだけに、ぐっと見入ってしまう。
要するにこの映画は、良く言えば実に良く出来た再現VTRなのであるが、悪く言ってしまうと、あまりに手放し過ぎるのだ。一応、コロンバイン高校という所で起きた事件について、再現VTR巧く撮れたから、後は勝手に見といて、なのだ。もう感情がなければ思想も伝わってこない。これで何かを感じとれという方がおかしい。あ、感じ取らなくていいのかね、、