1.筆者はかつて「ハリー・ポッターと秘密の部屋」に対して厳しい評価を下したのだが、本作はそれ以上に厳しい。ある程度、原作を変えるのはやむを得ないとしてもちょっとこれはどうだろう。とにかく説明不足というか不親切だ。原作の魅力(例えばハリーの父親と同級生との友情談)がほとんど全くといっていいほど活かされていない。製作者としては「第三作目まで観に来るのは原作ファンばかりだからある程度内容を知っているだろう。だったらそれを踏まえた上で話を進めればいいだろう」という考えだったのではないだろうか。原作者のローリングは、映画化に際し「原作通りにしないで」という旨の要望を出したそうで、映画製作者としてはやりやすかっただろう。正直、小説を映画化するというのは原作者が直接、脚本にかかわるぐらいの姿勢(その最たる例がゴッド・ファーザーpartⅠ及びⅡ)でやらないといい作品は出来ない様に思う。主役の三人の脇を固める出演陣がとても豪華なのに脚本がこれではもったいない。これだったら原書の朗読テープを聴くほうが楽しい。