1.《ネタバレ》 まず3D映像については、従来の二次元撮影カメラで撮影しているせいで、ポスト・プロダクションでの不完全な3D映像。つまり写真を切り抜いて並べて動かしている感じで、違う人物間の前後の差は立体的に出ているけれど、同一人物内の立体感はまるでなし。店頭の等身大アイドルの看板が動いてる感じ。時代が経てば、この作品などは「初期の3D映画には情けないモノもあった」と云われるようになるでしょう。
内容はさすがディズニーで、ルイス・キャロルの原作から、映画版「ナルニア国物語」のような、浅い勧善懲悪ストーリーをよくぞ紡ぎ出したものだと感心する。元にあったナンセンスなロジックの遊びやチェスゲームは全滅で、この映画のタイトルは「アリス・キングスレーの冒険」と変えた方がいいと思う。ラスボスは「鏡の国のアリス」のなかで読まれる、有名な「ジャバーウォッキー」の詩から持って来ちゃっているけれど、このジャバーウォッキーのCG造型が、かなり情けなくて泣けます(原作の有名なイラスト、テニエル作の造型と比べてほしい)。
ティム・バートンらしい毒気はもうほとんどないのだけれども、芋虫の吐く煙、当時の阿片大陸中国への出発、ラストにむくむくと大きくなるキノコなど、ドラッグへのほのめかしはあるのかも。しかし、バンダースナッチの住処の中で、どーしてアリスは突然眠ってしまうの???