2.《ネタバレ》 たしかに、年に一度あるかないかの外れ映画。
もしかして、これって海外で受賞することだけを狙った映画なんじゃないかな。結構高度なマーケティングで作られているような気がしないでもない。
不気味な音楽にアジア言語が乗っている。それを終始掛け続ける。
意味不明なキャラ設定。
変な色彩。
異文化丸出しな食事。
そして不可解なストーリー。
オリエンタル補正が掛かってなぜか西ヨーロッパで評価されるタイプのアジア作品の典型ではないか。もしかしたら、とImdbを見てみるとやっぱ堂々の7点。
とはいえ、とはいえです。これを日本人が見て、言葉を理解した上で面白いと思うのか。おそらく、欧米人にとってこの映画は日本人はこういう種族だと理解して、何も疑問を持たないんだろう、そして迎合できる。我々がハリウッドの肉食な主人公達をアメリカ人そのものだと思って酷い点をつけたりするがごとく。
そもそも、「何で」の連続で、ストーリーはあるのか無いのか解らないし設定自体が15分ごとに微妙にさっきと違う。こう言うのって頭が混乱するけど、異国の映画って確かに良く感じる。昔のフランスとかイタリアの映画みたいなもんなら。
ただ、単に不出来な物がエキゾチックな魅力を帯びてしまう映画と決定的に違う。それを狙って作り込んできていると言うところに邪悪さを感じる。こう言うのってなんか不愉快だ。
内容でも許容しがたい部分がある。終盤に、なんでペットの豚を食べなければならないのか。母親が死ななければならないのか。インパクトを狙った原作を機械的な脚本家達が工業製品のように作り上げたんだろうが、そういうやり方が気にくわない。
それから、いちいち食を高尚な物に祭り上げようとするのも不快。お金が無くて本当に食べられなくて、そんなときおいしいと思った食べ物が塩を掛けたパスタだとか、それも食べられなくて飛び出した親元に土下座して戻っておかずがあるしみったれた夕ご飯を食べるとかいう体験をしろとか、それが偉いとか言う意味ではない。でも、単にお金を払ってプロの料理人に作らせた明らかにおいしい食べ物を食べる瞬間が本当の幸せなのだろうか?人間の根本は食、みたいな哲学が本当に嫌いだ。