1.《ネタバレ》 中田秀夫監督の新作ですが前作『クロユリ団地』があまりにもアレだったので、どんなもんかと思いましたが想像以上にお粗末な出来でしたね。そもそも霊の存在理由が劇場に全く関係ないのも解せません。人形作家の事故死した長女の現世への生の執念が籠っているにしても、なぜ小道具倉庫に入ってたのか不明だし、小道具担当者も身体は作ったけど頭部は作らないで使いまわそうってのも意味不明。あんなもん劇に合わせて製作するもんでしょうに。たまたま劇場に回って来ていた霊ってだけにこのタイトルはナンセンスですね。霊が劇場に惹かれる過程があればまだ説得力もありましたがそれもなく、スタッフは怪死して主演女優は転落して重症なのに周囲は意気揚々としているのも変。まあ脚本は『クロユリ団地』の人らしいので納得しました。ホラーは駄作良作それなりに観てる方だと思いますし、かなり穏便に温かく観ていると思っていますが、演技や演出を含め話が今どきの映画と思えないほど酷かったです。 終盤はもうコントを観ているようでした。人形(霊)が本領を発揮しだしたら、「出口を探そう!」と主人公の手を引いていく小道具のにいちゃん。職場にもかかわらず出口を見つけられず、なぜか出口ではなく警備室にたどり着くとモニターで人形の悪行を見学し恐れおののく二人。人形は表情も態度もやる気が感じられず人間の生気を吸うシーンもお粗末なCG。最後はのんびりと襲い掛かってくる人形相手に、生贄の娘を閉じ込める内部に鋭利な金属のついているアイアンメイデン風の籠に「入れ!」と言い出す小道具のにいちゃんとそれに従う主人公。それを見て何もできずにオロオロと周囲を徘徊する人形。次ににいちゃんは何をするのかな?と思ったらよりにもよって籠を人力滑車で必死に釣り上げ、挙句の果てに主人公を人形の上に落下させるなどヤリたい放題。「お前どっちの味方なんだよ!」と笑いながら観てました。テレ東の午後ローでやったら実況民が大喜びしそうな出来ですね。中田秀夫はもう枯れ果てたんだなと再認識。『クロユリ団地」と同じく音楽だけは良かった。またもや川井憲次の無駄遣いでした。