4.《ネタバレ》 もしこれが中国に対するあてつけだとするならばとても高度な政治的な嫌がらせだと思いましたが、悲しいことに真面目にやっているつもりらしいです。わが国の大作映画は、芸能人を大動員をして、そして大宣伝をして、あとは知らんぷり、広告戦略にすべてのエネルギーをつぎ込み、観客があとで期待はずれだったと文句を言っても、お金を払わせたほうが勝ちだと思い込んでいる。いわゆる「作り逃げ」というものが蔓延しています。しかも芸能事務所との馴れ合いがますます顕在化し、どんな映画にも必ずといっていいほどスマップがオマケのようについてくる。今では邦画はすっかりTVの二軍に定着してしまいました。もはや作り手にとって「孫悟空」という人物イメージなどはどうでもよくて、孫悟空を演じるスマップのディナーショーを、映画という形に置き換えて利益を上げようとしているのが明白です。当然のことながら今この国では本当の映画俳優は育たない事実がある。本当の俳優とは自分の「個性」や「性格」を人目にさらしてはいけないと思います。常に自分をさらけ出しているTVタレントの俳優化は最悪の選択だと言わなくてはいけません。観客はですね、これを孫悟空が大騒ぎしている映画とは見ないのですよ、スマップが大騒ぎしている映画と思うだけなのです。つまり観客に固定概念をすでに与えてしまっている時点で役者はできないのです。スマップがやかましく騒ぐたびに、なんで貴様のくだらないディナーショーなど拝まなきゃいけないんだよと毒づきながらも日本映画の荒んだ現状を憂えずにはいられなくなり、気がついたら涙が出てきました。もし映画を愛する中国人がこんな笑えない西遊記をみたら、怒るよりむしろ私たち日本人に同情してくれでしょう。