2.《ネタバレ》 「すばらしい!」と思った舞台の思い出になるかとビデオを購入して「失敗した。」と自分では思っている作品。舞台では道具等一切ない暗い背景にオーディション応募者の色とりどりのレオタードが映え、最終選考のインタビューに残った応募者全員がきらびやかなユニフォームで登場するラストまで息をつかせないのですが、舞台と比べて良かったのはちらっと入ったニューヨーク世界貿易センターやブルックリン橋の映像と選考開始直後の群舞くらいでした。舞台ではディレクターは一切姿を見せず、観客の後ろからマイクを使って呼びかけるだけなので、観客は自分たちも選考に加わっているような錯覚に陥るのですが、もちろんそれもなし。ディレクターだってスポンサーの好みや批評家のレビューに戦々恐々とする一人の人間なのは当たり前・・・でも、舞台では人間味を一切排した神ような存在で、それが一つのポイントだったのに、マイケル・ダグラスの無表情が何とか救いになっているとはいえ姿が頻繁に画面に出るのは興ざめでした。また、舞台ではインタビューを受ける応募者は体全体でダンスに対する想いを表現するのに映画では時には顔だけを大写しにするし、唯一の東洋人であるミス・ワンが舞台ではいかにも貧しい中国移民の中から体をはって(もちろんダンスのことです)這い上がってきたような不敵な面構えだったのに映画では最近急増中のアッパー・ミドルの中国人家庭で甘やかされて育ったお嬢さんみいだし、舞台裏が不必要なほど頻繁に映るし、ディレクターの助手はネズミみたいにちょろちょろするし・・・と文句をつければきりがないのですが舞台に敬意を表した点数をつけておきます。