1.《ネタバレ》 過去の栄光を背負っているおじさんは、もうまったく若いやつのことが分からない。
「今何が流行っているのかなあ。若い子は何を考えているのかなあ。」
無理をしてでも、ウケるものをつくらなければならぬ。
なぜならおじさんは、ゲイリー・マーシャル様であるからだ。(おじさんというよりおじいさんだけど)
「そうだ、このごろ姉妹の確執を描くのがオンタイムらしいぞ。これならきっと外さなくて済む。」
「それだけでは心もとないので、〝母性〟を絡めとけばマチガイないであろう。なにしろ〝母性愛〟はハリウッドではオールマイティのカードであるからな。」
「それで要所要所に大音量で歌入りの曲を流しておけばよい。」
「相手役の男は、とにかく万人ウケのするハンサムなら誰でもいいぞ。」
「犬の名前はオリガミがいいぞ。意味はよく知らないが他の映画でも聞いた名前で、オリエンタルでタイムリーだろ。」
ああ困ったことだ。
おじさんはそんなに無理してまで映画を撮らなくてもいいよ。
同じおじさんといっても、コメディのセンスがあるロブ・ライナーとは違うのよ。
あーたの場合は、平均年齢50歳以上の枯れたキャストを集めて、しんみりと人生の秋でも語ったほうが向いてると思うわよ。
今どき、アフターファイブにディスコで踊り狂うのが趣味だなんて、日本のOLですら考えないって。そんなくたびれるだけのこと。おまけにお約束のように初対面の男をお持ち帰りですか。エイズも性病もなんのその。いつの時代の話だって。それで15歳の姪がプロムの夜に初モーテルですか。相手はDJ。すべて書き割りの世界。想像力の貧困なおじさんの思いつくことといったらこの程度なんですねえ。
というわけで、「全く」面白くなかった。もともとケイト・ハドソンが嫌いであるうえに、彼女の「妹性」を悪方向に押し出すようね下品なキャラ。計画性も責任感もゼロ。スタンドプレーを賞賛し、なんでもその場しのぎで片付けてなんの自省もないおバカなヘレン。「こういうのが現代の女性像にマッチしてウケるであろう」と思っているマーシャル様は、救いようがない情報不足であるうえにセンスもなし。彼の時計は80年代で止まったまま…ケイト・ハドソンはあまり作品に恵まれないタイプかも。