1.《ネタバレ》 それまでのイメージではない役を演じると『新境地』の演技といわれ、女優さんの場合にはオマケとして濡れ場を演じると『体当たり』の演技と評されます。
これらの場合、演技そのものの評価ではなく話題作りが殆どだと思います。
本作では吉永さんは『体当たり』の演技をしていますが結果として上記の通りになったと思います。
彼女の作品を何本か見ましたが、不幸にも未だに女優としての彼女の力量を評価できる様な作品には出会えていません。
本作でも彼女の魅力を発見できませんでした。
濡れ場も紗を掛けたりしていますが美しくはなく、表情も単調で、バストのトップを隠すために不自然なカメラアングルになったりと、感情にも、そのもうちょっと下の方にも訴えるものは全く有りませんでした。
作品では女は不幸に、男は汚く、障害者は善悪を超越して純粋に表現されていますが、それらの要素が関連し合っても相乗効果的な展開には発展せずに結局殺人や男女の愛といった極端で単純な結果に落ち着き、物語としての深さを感じられませんでした。
雪の中で、かよとターボが戯れるシーンなどを含めて吉永小百合ファンが楽しむ作品であって、そうでない私は一体これは何なんだろうと思ってしまう程でした。
実在の死刑囚を基にした人物を吉永小百合が『体当たり』で演じた、という話題性を拠り所にした映画の様に思えますが、冷静に考えると個人的に肌の合わない作品ということで、そこまで酷いとは言えないかもしれません。