2.《ネタバレ》 原作未読。
小学生の時に一度見たことがあるはずなのだが、まったく内容を憶えていないので、おそらく内容がわからなかったのではないかと思いながら、30数年ぶりに鑑賞。見終わって改めて子供にはわからないだろうなと思ったし、なんなら大人にとっても謎ばかりだった。
80年代のアニメだから、大人を第一のターゲットにしたとは考えられないので、子供に見てほしい映画だっただろうが、ディストピアとして描かれた未来像、といくに思想を管理する社会を子供が現実のものとして想像するのは難しいのではないかと思った。また、歴史の勉強という意味もあるのだろうが、東京大空襲や関ヶ原、そして本能寺と、正直子供が興味を持って見られる歴史を舞台にできているとは思えなかった。そして何より、おそらく眉村卓の原作とは関係ない(と思われる)角川春樹の俳句がいきなり何度も差し挟まれるのは、大人にとっても意味不明なのに、とても子供のことを考えているとは思えない酷い作りだと感じた。
また、大人にとってみれば、歴史を旅してきた主人公たちが、結局最後に記憶を失って何も成長していないところが、まったくもって謎なのだった。「何か懐かしい感じがする」と言い出すのが、唯一の大人である先生であるところも、謎。ただし、唯一の女子であるテコについては、恋愛が描かれていて、また竹内まりやがこの映画のために「テコのテーマ」を主題歌にしていることからも、もしかしたらオッサンにはわからないものを、女子なら感じられるのかもしれないとも思った。
アニメーションの技術や作り自体はその時代の制約もあるだろうから、今見るとどうかということを問うてもナンセンスだとは思うが、ストーリーやコンセプトが謎すぎて、あえて今見る価値のある映画だとは思えなかった。