1.《ネタバレ》 気鋭の監督と俳優を起用して、将来性を見込んだ映画作りもむなしく、全くもってファンタスティックでない残念な仕上がりだ。
リブート前と最も異なる点はメンバーの年齢設定で、主人公たちはティーンエイジャーに設定された。ダイバージェント、ハンガーゲームなどのティーン向け映画が最近のトレンドでもあるハリウッドにおいては、この層へのアプローチを狙うのは当然の方向転換でもある。
この変更を受けて、ティーンに向けた等身大のテーマが用意され、それを描くに相応しいスタッフが投入されている。監督は「クロニクル」でも若者の感情を描いたジョッシュ・トランクが務め、役者もフレッシュな面々だ。といっても、実は主要4人の実年齢は、役柄の年齢よりは10歳は上である。年齢は置いといて、「セッション」で熱演したマイルズ・テラーを初め、頭角を現してきた有望株のキャスティングは興味深い。
この面子が大作でどのような魅力を放つのか。しかしここからがこの映画の酷い点で、期待させる部分がどうでもいいと思えるほどつまらないのである。脚本は壊滅的で、ドラマとアクションが互いに独立しているような印象さえを受ける。
監督の性質上か、ドラマに焦点を当てたいのは分かる。長い時間を割いているが、しかしそれが効果的かは疑問だ。この手の映画ではじっくりと描くのではなく、短い時間でどれだけ印象的に演出できるかに手腕を発揮してほしい。そのための若手演技派ではないのか。
結果としてアクションは少なく、実質はクライマックスのバトルのみと言っていい。アクション映画としての物足りなさは否めない。映像の質としても優秀とは言えず、ラボと異次元をうろうろするだけで、申し訳程度に地球にクレーターをつくる程度である。
ドラマも機能せず、アクションもマズい。新鋭クルーが作るリブートということで、定石から外したかった面もあるだろうが、面白くないならばそれは失敗だ。冒頭、中盤、終盤に見せ場を設け、その間に葛藤と成長を印象的に演出する。ベタかもしれないが、彼らのようなオールドスタイルのヒーローはこういった基本で攻めても違和感はないはずだ。積み上げたドラマのエモーションをアクションに注ぎ込めなければ、燃えるヒーロー映画にはならないだろう。