2.《ネタバレ》 なぜかハーレイが「そこらへんにいそうな前向きな女の子になって帰ってきた」という印象。
なんというか、メンタルが至ってノーマルなのだ。もちろん暴力的だし、スーパーマーケットでお金を払わずレジを突っ切ったりするのだが、それは「狂気」ではない。もしジョーカーとの破局によってメンタルが弱体化したのだとしたら、主役になる資格さえないのではないか?
肝心のストーリーは「利害の一致した女たちが団結して敵(=男)を倒す」という、ガールズパワームービー的な世界観に小さくまとまってしまっている。全体的にフェミニズムが匂い立つのだが、アクションシーンは男たちが「斬られチャンバラをしてあげている」という感じが拭えないし、金的を潰す描写の強調にはミサンドリー(男性嫌悪)さえ感じる。
そもそもハーレイ・クインというキャラクターの魅力は、「美女なのに悪役」「もともと才女なのに白痴美を感じる」といったところにあると思う。裏を返せば「ブスでは成立しない」「知的なままではダメ」ということであり、フェミニズムやアンチルッキズムとは真逆のファンタジーのはずなのだが……
終盤のビックリハウスは面白くなりそうなシチュエーションなのに、バネやゴムでドタバタするだけでガッカリした(すごく「予算が尽きました」という感じがする)。あと細かいかもしれないが、ストーリーの構造上、常に下ネタ(エロじゃなくて汚い方の)がついて回るのもいただけない。