3.予告編を観ただけで、否が応でも鼻につく“駄作臭”から逃れるようにこれまでスルーし続けてきた今作。
ただゴジラファンとして、シリーズ中観ていない作品があることも口惜しいので、ついに初鑑賞。
ハードルを下げきっていた分、思ったよりは“観られた”感覚はあるが、やはり駄作は駄作だと思う。
予告編の段階から明らかだったことではあるが、今作における最たるマイナス要因は“キャスティング”だと思う。
田中美里には大変申し訳無いけれど、主人公の特殊部隊隊長に彼女を起用したことは、完全なるミスキャストだ。どこからどう見てもまるっきり戦闘員に見えないことは、主演女優の演技力どうこうではなく、配役の失敗以外の何物でもない。
今作で監督デビューを果たした手塚昌明は、この後の「ゴジラ×メカゴジラ」でも釈由美子を女性戦士役で主人公に配しており、完全に彼の“趣味趣向”なのだろうが、今作のこのキャスティングミスは致命的だった。
もちろん“駄作”と言い切る以上、主演女優一人にその原因を押し付けることは出来ない。
その他のキャラクターの軽薄さ、ストーリーそのもののお粗末さも、当然褒められたものではない。
そして、個人的に最も我慢ならなかったのは、ゴジラの造形である。
不必要に仰々しい背びれは厨二病丸出しのデザインで不自然でダサい。
ゴジラと対峙するメガギラスなる新怪獣も下品な毒々しさが空回りしており、これまたダサい。
とまあ振り返ってみれば、オープニングタイトルから、ラストカット、エンドクレジット後の“蛇足”シーンに至るまで、ことごとく「ダサい」の一言に尽きる。
しかし、ゴジラシリーズは実のところ7割以上が“駄作”であることは、ファンであれば周知の事実。
それを踏まえれば、今作の駄作ぶりなどそれほど目くじらを立てることではないとも思える。
そして、今作での長編デビュー後に、手塚昌明監督が再度挑んだ「ゴジラ×メカゴジラ」と「ゴジラ×モスラ×メカゴジラ 東京SOS」は、シリーズの中でも屈指の良作だと思っているので、この「失敗」は許せる。