1.まずタイトルが素晴らしいよね。序盤の流れもいい。
でもそのあとのドラマ性が非常に薄く、まったくこちらの心に響いてこなかった。
なぜ彼らはピアノを弾きたかったのか? そこが一番のキーポイントのお話なんだけど、
その時の背景や心情、人物描写がしっかりと描かれておらず感情移入ができない。
物語の流れも何か変だなと思っていたら、原作が実話を基に創作されたドキュメント小説で、
それをそのまま映画化していたらしい。当時の生存者の取材から成り立っているお話なので、
主人公たちの描写が不足しているのは当たり前のこと。それならドラマ仕立てなどにせず、
完全なドキュメント映画にしてしまったほうがまだ良かった。
役者に関しては、記者役の女性は軽薄だし、主役二人の演技もまるで魅力を感じない。
仲代達也はさすがの演技だったが、上記の理由では戦争の悲劇を訴えようにも限界がある。
何とも中途半端な作品だった。