2.《ネタバレ》 <原作未読・映画版のみの評価>
まあ、都市伝説でも、怪談でも、ネタは何でもいいけど、ホラーやサスペンスといったジャンルにとって大事なのは、やっぱり設定を生かす「演出」だね。こればっかりは監督にセンスが無いと、どうしようもない。そう言う意味でも色々と突っ込み所が多い作品。
普通、ホテルの廃墟跡で子供が遊んでて行方不明になったら、家出と結論する前に子供が入り込んだり、落ちたりしそうな所を集中的に探すだろ。そもそもなんで知恵は由美子が通気口に隠れた事を警察に言わなかったんだ?別に落ちたのは知恵のせいじゃないんだから、言わない理由が分からない。由美子に嫉妬していたからとか、ふざけて押したら落ちたとか、何でもそれらしい理由は付けられるはず。
だいたい由美子が死んだのは100%本人の自業自得。助けられなかったどうのという以前の問題。幻覚を見るほどに自責の念に駆られたりする原因としては無理がある。
武の背中の手の跡にしても、作中で扱うなら、落ちていく由美子が掴まろうとして引っ掻いた傷跡だったとか、必然性のある理由ならいくらでも考えられるだろう。この辺の設定の甘さが突っ込み所として目立つ。
演出面にしても、ボイスチェンジャーで変えたような太い声で「オヤユビヲガエゼ~」と言わせたりするところに、監督の恐怖演出に対するセンスの無さを感じる。この地点で見る気が失せる。実際、登場人物の演技なども、監督の演技指導を含めヒドいもの。
綾の舌っ足らずな喋り方にイライラさせられるし、小学生の頃の「由美子がいなくなったら探してくれる」「うん、絶対に探して見せるよ」なんて恥ずかしい会話にもセンスが無い。お互い好きな相手だけど、告白はできないでいるって程度に匂わせとけばいいんだよ。
また、序盤では誰かの悪戯かも知れないのに、その検証もせず「このままじゃ、あたしたち殺されちゃう~」と早々にパニくってるのにもシラけさせられるし、信久が公園のトイレで殺されるシーンにしても、何故あんなに不気味な公園のトイレにわざわざ入っていくのか分からないし、智彦が武に襲われるシーンでも、どうしてスコップを投げ捨てるのか等、いちいち行動や言動に納得の行く必然性が無い。
当たり前の話だけど、やはり脚本や演出にセンスが無いと、作品全体の説得力も無くなる事をこの作品が証明している。