1.《ネタバレ》 ファンとして新作が出てくれた事は嬉しい。
ただ、出来の方は相変わらずショボい。
前作「天使の策略」に比べれば、いくらかマシにはなったものの、はっきり言って前作は悪すぎたから論外。
盗む獲物や敵キャラの取って付けたような設定に加え、ありがちで強引なストーリー展開。そして、その強引さを中途半端なギャグとご都合主義で誤魔化すため、ラストに行くに従ってグダグダな展開に。
しかも今回はなんと五右衛門がギャグ担当。珍しい設定に期待したのに、結局、不二子に協力しているからと言うだけの理由で無理やり途中退場させられる。やはり従来のテレビ映画シリーズ同様、ファンが見たいと思うようなルパン一味の「活躍のさせ方」がまるっきり分かっていない。
よくルパンのキャラに対する批判としてやたら「旧シリーズ」と比較する人がいるけど、個人的には「カリオストロ」のように義賊としてのルパンが好きなので、こういう優しい性格に違和感は無い。今作の問題はそういう事ではなく、各キャラ独自の「個性を発揮した見せ場」が無いこと(もっともこれはシリーズ共通の問題だけどw)。「主役を光らせるには脇役の活躍が不可欠」という脚本作りにおける基本が分かってない。主役だけが目立っていれば良いという作り方は、要するに前時代的。
ルパンとツンデレな関係の次元はまだマシな扱いだが、悲しいかな敵側に魅力が無いので、相対的に次元にも勢いが無い。銭形の活躍もこれまた中途半端で、いてもいなくても話が成立する程度の扱い。敵にもルパンにもつかないという不二子の役回りもワンパターンすぎる。ヒロインのキャラ設定もありがち。おまけにラストは「カリオストロ」の劣化コピー。
監督や脚本を書いている人は業界では有名なようだけど、はっきり言って感性が古い。このままじゃルパンの名が廃れる一方だし、せっかく最近は一般にも漫画やアニメのレベルの高さが認知されてきたのに、こんな駄作を作られちゃ、元の木阿弥だよ。