1.《ネタバレ》 公判の朝、廷吏が私に笑顔を向けたのは、私の負けが確実だからだ――。敏腕弁護士であるラムゼイはその日、不穏な気持ちで裁判所へと向かっていた。旧知の仲であった先輩弁護士が殺害された事件の初公判が開かれるからだ。容疑者は彼の一人息子である青年マイク。口論の末、父親をナイフで一突きにしたという第一級殺人罪。そう、ラムゼイは家族ぐるみで付き合いのあったその弁護士のためにも何としても息子の無罪を勝ち取らなければならなかった。だが、マイクは逮捕された直後から心を閉ざし、ラムゼイに対しても一言も口を利こうとしない。さらには召喚された証人たちの口から次々と明かされるのは、殺されたその父親が酷い家庭内暴力や派手な女性関係を繰り返していたこと。圧倒的に不利な状況の中、ラムゼイは不憫な境遇に追い込まれたマイクの母親のためにもと裁判を進めていくのだが…。果たして事件の真相とは?本当にマイクは父親を殺したのか?そして、ラムゼイは無事に彼の無罪を勝ち取ることが出来るのか?一人の少年の裁判を通して炙りだされる、そんなある家族の濃厚な愛憎劇をスリリングに描いた法廷ミステリー。キアヌ・リーブス&レネー・ゼルウィガー共演ということで今回鑑賞してみました。映画全編を通して描かれるのは法廷でのやり取りのみ、後はそれぞれの証人の発言から事件に至るまでの回想シーンを差し挟んでいくというスタイルの作品なのだけど、こういうタイプの映画ってほぼ会話中心になるのが常。なので主要人物を演じる役者陣がよっぽどの実力者でないと、とても見ていられないような冗長な作品になりがちです。対して本作。身も蓋もない言い方をしてしまえば、狂言回しとなるべきキアヌ・リーブスが圧倒的に大根なのです。ハリウッド・スターだけあって確かに華はあるのですが、それは頭空っぽにして観るべきアクション映画でこそ映える代物。こういう演技力を必要とする役に彼をキャスティングしたのは明らかな失敗だったと言わざるをえません。途中途中で挟まれるナレーションなんて棒読みもいいところ。おかげで退屈極まりない作品となってしまってます。また、脚本のお粗末さもそれに拍車をかけています。最後に明かされる衝撃の――というか無茶苦茶なこの真相なんて、突っ込みどころ満載。これに納得できる観客など果たしているのでしょうか?観るだけ時間の無駄の凡作というほかありません。