1.冒頭、トルコの国鉄まで“出張”した主人公が、早速狂気的な正義感と親切さで悪党を撃滅する。
“正義の味方”とはいえ、相変わらずメチャクチャな暴挙に対して、カタルシスなどすっ飛ばして唖然としてしまう。
が、まあ「続編」ということも踏まえ、オープニングのそのぶっ飛んだ展開自体はアリかなと思えた。
しかし、目を引いたのはむしろそのアバンタイトルだけだったかもしれない。
前作から引き続き、“殺人マシーン”と化したデンゼル・ワシントンが狂気を解放させていく様が醍醐味の映画ではあるが、前述の冒頭シーン以降では目新しい展開が見られない。
前作では、タクシー運転手として平穏に暮らしつつも、身の回りの悪事に対して「正義感」というフラストレーションが膨らみ爆発するくだりに娯楽性が溢れていたけれど、今作では主人公は端から街の悪党退治に勤しんでいるので、前作で見られた緊張感や高揚感が得られなかった。
かつての同僚が裏切り者というありきたりな展開を経て、クライマックスを迎えるが、悪党側のキャラクターがそもそも小者で脅威がまったくないので、最強殺人マシーンの主人公の前ではことさらに弱々しく見え、盛り上がりもまるで無い。
デンゼル・ワシントンのでっぷりとした恰幅が、前作では逆に良い意味で不気味で魅力的だったが、今作ではストーリーテリングの愚鈍さと合わさって、ただただ鈍重に見えた。