3.《ネタバレ》 内容は今となっては、とても笑えるものではない。原発の矛盾を細かく説明してくれる映画は珍しい。
とはいえ、演出自体は凡庸に尽きる。キャスト陣は豪華であるのに役者の良さが全く生かされていない。
出てくる人物は皆、何も知らない子供のような大人を演じていて、役人のリアリティもなく、状況の説明役でしかない。脚本家が頭の中で構築している理論を人物を通して説明しているだけで、ドラマにもなっていないドラマである。
官僚が、ゆりかもめの中で大声で極秘のプルトニウムの話をしているのも、バカを通り越している。
内容よりも演出の稚拙さに失笑してしまった。
映画としては稚拙であるし、この映画で語られるデータには議論が必要かもしれないが、この映画の台詞「絶対なんてことはこの世にない」ということは残念ながら、そのとおりになってしまった。
そして「喉元すぎれば暑さ忘れる」というのも、その通りになりつつある。
今や多くの人が反原発の感情を持っていながら、未来よりも明日の小銭の誘惑に抗うことができない。
つくづく人間の愚かしさを考えてしまう。
そして明日また「それ」が起こっても誰も責任をとれる人はいないだろう。
「その時」には日本に人が住めなくなっているのだから。